+零崎遥織の人間欺瞞+

□stage1
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私の両親は世間で言う"悪い人"の見本ってくらい酷い人達だった。





父親は酒に溺れギャンブルに明け暮れる男。母親はたくさんの男と取っ替え引っ替え寝てはホストに金を積むような女。





そして2人は、暴力で訴える人達だった。





気に食わないことがあれば殴られ蹴られ。私はあの人達に抱いてもらったことも頭を撫でられたことも褒めてもらったことも一度だってなかった。





それでも私が暴力が日常茶飯事の毎日に絶望せずにいられたのは、大切な大切な―――、



弟がいたから。






弟のためなら何だってできた。殴られることも蹴られることも、弟を守るためなら構わない。





おねぇちゃんって笑って私の後をついてくる弟が大切で愛しくて。



あの子が泣いている所なんて見たくなかった。



あの子が笑ってくれればいい。











でもカミサマはそんな私の願いさえ叶えてくれない。
















『あら、そういえば昨日ので最後だったんだっけ…』


「あ、じゃあ俺がもらってくる!」


『そう?気を付けて行ってきてね』


「うん!」




近所のパン屋さんでタダで貰えるパンの耳がなくなっていたのに気づき、弟の無為が貰いに外に出た。


運がよければ売れ残ったパンも貰える。あの親が食事なんて用意してくれる訳もなく、私達はタダで貰えるものや親の財布からこっそりと盗んだお金で生活していた。









時計の針は7時半を指していて、外は暗くなっていた。この暗い中もう小学6年生とはいえ無為一人で行かせたことに後悔していた頃。



玄関からガチャというドアが開く音がした。



無為かと思ったが、複数の声が聞こえその予想は外れていることに気づいた。




リビングの扉が開くとそこから何人もの男が入ってきた。その中心には遺伝子的には私達の父親であるそいつがいた。





ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべながら近づいてくる男達。



いつの間にか周りは男達が囲んでいて目の前の男が突然私を思いきり押し倒してきた。


フローリングの床に叩きつけられ背中が痛むが私には絶望という感情しかなかった。






「本当にヤっちゃっていいんスか?」


「ああ。ソイツ顔と体は悪くないからな。金になる」


「ギハハハ!親とは思えない最低なセリフっスねぇ!」


「俺らとしちゃこんな美少女とヤレるんだから関係ねぇですけどぉ!」





何されるかは明白だった。


父親の声とゲタゲタと卑しい笑い声が響く。視界の端に、醜く不気味に笑っている母親がいた。








ああ、私はこんな奴らにヤられるのか。




こんな奴らに押し倒されて触られて犯されて。





私が今まで我慢してきたのは何だったんだろ。



金のために、金なんかのために、売られた。







あはは、なんか救いはあるって、神様はいるって信じてきたのが馬鹿みたい。












この世界に救いは存在しない。










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