+零崎叶織の人間酔狂+
□はろーはろーぐっばいでいず
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『…あれ、あれあれ?』
真っ青な空に燦々と太陽が輝いている。
太陽はどこまでも明るく照らしているのにこの、豪華な絵画が描かれた障子に囲まれたこの部屋は薄暗い。
とりあえず手に持っていた血塗れの日本刀を畳の上に置き考える。
うーん、まぁこれは私がやったんだよね。
なんか体が勝手に動いたって感じだけど。
私の目に映るのは部屋一面に転がるぐちゃぐちゃバラバラゴロゴロ、顔も性別ももはや人間かどうかすら分からないくらいの"人"だったモノ。
畳も障子も天井も全てが紅く染まっている光景に私は頭を悩ませる。
えー、これって私殺人犯になるんじゃね?
捕まるの?刑務所?いやまだ未成年だから少年院?
てかコレどうしよ。いちようここ私の家なんだけど。もう住めないじゃん、どうしてくれるんだ。死体と一緒に住むとかヤダよ?臭そう。
むー、逃げた方がいいのかなー。もうほっといてもいいよね。
うん、めんどくさい逃げよーっと!
そう考えがまとまったから日本刀を手に持ち部屋から出ようと思ったら前の障子がゆっくりと開いた。
「おぉ?なんだなんだ、随分と派手にやったなぁ」
笑いを含ませながらそう言った人は太陽を背に立っていて、逆光になっていて顔が見えない。
ただ真っ赤な髪に真っ赤なスーツを着たその人は、どこまでもどこまでも赤だった。
「…どちら様ですかぁ?」
「お、あたしか?あたしのことを言ってんのかお嬢ちゃん」
「そーですよん、お腹すいたからお話ならはやくしてね」
「いやー、あたしはお前に用があった訳じゃねぇんだけどな。仕事で来ただけだし」
「仕事?」
「そ。ここにいる大将さん2人を捕まえにきたんだけどさ。もう死んでるらしいし」
うん、確かにここにいる人はみんなあたしが殺しちゃったからね。
「んで?片方の大将はさっき見つけたんだけど呉加羅組の大将はどれだ?」
ニヤニヤと、シニカルな笑みを携えながら言うおねーさん。
呉加羅組の大将さんはーぁ、んーどれだろ。
たしかー…
ゴロゴロと転がるモノに近づき何個かを手に取る。
「たぶんコレだと思いますですよー。全部は覚えてないですけど」
「ふぅん」
相変わらずニヤニヤと声に笑いを含ませながら自分が聞いてきたのに興味のない返事をする。
手に取ったモノをボトボトと落とすとビチャ、血が跳ねた。
「ところでお嬢ちゃん、その仮面はずせ。嫌なヤロー思い出す」
いやん、命令形。
「いいですよーぅ。見えづらいですし」
血が顔につくのを防ぐために被っていた狐の仮面をはずす。
さっきより明るく目に入ってきた陽射しに思わず目を瞑り、ゆっくりと開いた。
相変わらずおねーさんの顔は見えなかった。
「ん?おぉ?なんだよ超絶美少女じゃねぇか!和服美少女萌えー!よしイイこと思いついちゃった」
「むぅ?」
おねーさんが楽しそうに近づいてきたので後ずさろうとすると急にガクンと足から力が抜けた。
「はぅあ!?」
後ろに倒れる体に目を瞑ると暖かな感触に包まれる感じと浮遊感。
パチリと目を開けると高くなった視界に赤。
「はわ!何ですか!降ろしてください!」
「降ろしたら歩けねぇだろ?足が限界だったんだよお嬢ちゃん、体力ねーなー」
なるほど、だから足に力が入んないのか。
私を抱えたまま部屋を出て縁側を歩き出すおねーさん。
「あぅ?あぅあぅ!?やだー!!おねーさんちょう美人さんだ!!キャハハ!綺麗かっこいいー!!」
「おう、その綺麗でかっこいい美人なおねーさんについて来てくれるよな?」
「もちです!おねーさんとならどこまででもついてっちゃいますよぅ!!まず初めに着替えたいので私のお部屋まで連れてっちゃってくださいな!」
「おーおー、意外と強かだな」
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