+不完成少女の色彩無色+

□colorless 2
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振り向いた先にいたのはリビングのドア枠に寄りかかる全身真っ黒の人。声からして男…かな。


まぁ…部屋が暗くてよく見えないっていうのもあるんだけど。






「……んー、暗くてよく見えね」




部屋は電気がついてなく窓側は月の光が入ってきているが部屋の中心のこちらには光が入ってこない。



ぼーっと黒い人影を眺めてると物凄い殺気が部屋に一気に流れ込んできた。




「ま、いっか。殺しちゃうから関係ないし」




咄嗟に傍に転がっていたナイフやらフォークやらを持ち、バッと後ろに下がる。



「あはは!その殺気…やっぱり君がコイツら殺したんだ?」



ピリピリとした殺気。


空気を震わす音。



「その小ささからして子供みたいだし。いいねー!子供の肉は柔らかくて甘くてトロトロですっごい美味しいんだよ!」



いろいろと危ないその発言を聞かなかったことにしてその人に向かってナイフやフォークをいくつか投げる。




軽々とそのナイフを避け、歩みながらこっちに向かってどこからか出したナイフをわたしと同じように投げつけてきた。



それを走りながら避けそこら中に転がっている"モノ"に刺さっているナイフを抜き男に投げる。


ケラケラと笑いながら避けるその人。



ちょうど窓側まで走った時、空気が動く気配がするとその人がナイフを構えながら一気に突っ込んできた。



その攻撃を受け止めるためナイフをギュッと握り相殺させようとした時。








「………………」


『………………』











ぴたり。とさっきまでの攻撃が嘘だったようにその突っ込んできた体勢のまま目の前で止まったその人。




目を見開いてきょとんとしてる彼。


月の光が入って目と鼻の先の距離だからかさっきまでは暗くて見えなかった顔がよく見える。




二重のぱっちりとした漆黒の瞳に黒い髪。中性的な綺麗系美少年だった。





何故か固まっているその人を不思議に思いながらだんだんと痛くなってきている腕に耐えかねてゆっくりと腕を下ろすと。







「きゃ――――――――――――!!」


『!!』





いきなり叫び出した。






女の子みたいな叫び声をあげた男はナイフをぽいっと後ろに放り投げ、その場に崩れ落ちキラキラとして眼で見上げてきた。





「めっちゃタイプ……!!」


『………?』



さっきまでの殺気とは打って変わってのその態度に困惑していると、バッと片膝をついてわたしの両手を握り輝いている瞳で彼は言った。






「俺を、貴女の下僕にしてください…!!」


『!?』





思わず引いてしまったわたしは悪くないと思う。絶対に。






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