+不完成少女の色彩無色+

□colorless 1
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12月半ば、寒い外の空気に当たりながらわたしは家から3分のコンビニに向かっていた。深夜0時過ぎてるからか辺りは人の気配が全くと行っていいほどなかった。





ポツリポツリと外灯があるだけの薄暗い道を1人歩く。その内コンビニが見えてきたのでフードを深く被り直す。


ちなみに今日の服装はシンプルな白いワンピースに白いパーカー。






暖房がきいてる暖かい店内に入ってまっすぐスイーツコーナーに向かう。


シュークリームにロールケーキ、マカロン生チョコショートケーキチョコレートケーキモンブラン。たくさんのスイーツに目移りしてしまう。





しばらく眺めた後、悩んだ結果決めた物を取ろうと手を伸ばし、




その時同時刻、1秒のズレもないくらい、0,1秒のズレもないくらい、同じタイミングで同時にそれに触れた手があった。




わたしの手のすぐ右でそれに触れている手をだんだんと辿っていくと、パチリ。その人と目が合った。





「…お前もこのショートケーキ買うのかよ」


話しかけてきた。



『……買う』


こくりと頷くとショートケーキに触れた手をそのままにその人はうーんと唸った。



「んー、まったく同時刻同じタイミングだったしなー。このショートケーキは1個しかねーし…」



黒髪で長めの髪に右頬にある刺青。そして…






わたしと同じ、赤い眼。








うーんうーんとぶつぶつ唸っているその男の子は真っ黒の学ランを着ていた。


学ランってことは、中学生…?




「仕方ねぇ、ショートケーキは諦めるか…ってうぉい!何勝手に買ってんの?!」



刺青の男の子がぶつぶつ言ってる間にこっそりと買ったショートケーキを持ち、やっと気づいて驚いている男の子の学ランの裾を引っ張り外に連れ出す。




「ったく、何だよー」




ガサゴソと袋を漁り、ショートケーキを取り出す。



『…これ、あげる』


「んあ?……いやいや、これお前が買ったやつだろ」

『わたしはこれある、から…』



また袋を漁り、ショートケーキと一緒に買ったチョコレートケーキを出す。



『だからあげる…』


「ふぅん…。あ、んーじゃ金…」



そう言ってポケットに手を入れようとした男の子を遮る。




『…お金はいらない。えと…あなたに会えた記念…』


「………お前、そーゆうのどこで覚えたんだよ…」


『(そーゆうの?)昼ドラ…』


「よりによって昼ドラか!てか何だお前!男の俺よりイケメンじゃねぇか!」


『…それにあなたは、わたしと同じ赤い眼、だから…』



そう言ってわたしの赤を隠すように被ったフードを引き下げる。






わたしと同じ赤。




でも、わたしよりずっと綺麗な、赤。







男の子はショートケーキの箱を開けて、わたしが持っている袋からフォークを取り出し立ったまま食べ始めた。



「…赤い眼なんて、別にそんな珍しいもんじゃねぇよ。俺の兄貴だって赤だし」


『へぇ…。…見てみたいな、その人の赤…』




やっぱりわたしより綺麗な赤なのかな。



この人と同じようにとても澄んでいてキラキラ宝石みたいで……、




『あなたと同じような、幸せになれそうな赤なのかな…』






「……幸せ?」



こくりと頷きパチクリと何故かきょとんとしてる彼の赤を見る。




『…キラキラ、ルビーみたいに輝いてて…とても綺麗』


「…カハハッ。んなこと初めて言われたぜ」


『そ、なの…?こんなに綺麗なのに…』




刺青の男の子は独特な笑い方をしながら残ったショートケーキを一気にぱくりと食べ、ゴミをそばにあったゴミ箱に入れる。





「ショートケーキ、さんきゅな。俺の名前は汀目……いや、零崎人識ってんだ。お前は?」







『…白雪……、為契白雪です…』






それが、彼…零崎人識との出会いだった。







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