−長編オリジナル−

□2.少年−翠−
1ページ/2ページ


平和…
こんな幸せなことは無い。

地味でいい。
ファンタジーなんて存在しない!
……彼女に会うまでは……はっきりそう思ってた。





「昨日のテレビ見たか?女子アナ祭りやってたぞ」
翠の友達で女子アナ好き(?)の葉山 怜(はやま れい)。


「あーはいはい」
横で話を受け流す、翠と怜の友達の柊 千景(ひいらぎ ちかげ)。


「千景もう少し反応しろよな〜翠見た?」
情けなさを感じる声だった。

「情けない声出すなよ、わりぃ見てねーや」

実はテレビどころじゃありませんでした。
…と内心思いつつ、俺はそう言った。


最寄りの駅から歩いて数分の所に、翠達が通っている学校があった
…都立紅高等学校。

この学校は部活に力をいれていて、都大会越えは当たり前らしい。
…4月は新入生の部活勧誘で忙しい。
練習はわりとどこの部もきついらしい。



「そういえば、今日バスケ部朝練無いんだな」

下駄箱で靴を取り替えつつ、珍しいと言わんばかりに千景がそう聞いた。

「運動部は今月、一年の勧誘で忙しいんだよ」
めんどくさそうに、翠はそう答えた。

「翠、一年に知り合いいるか?
少しぐらい参加しないと先輩方うるさいぞ?」

怜もめんどくさそうにそう言った。


…この学校のバスケ部、有名だし勧誘する必要無いんじゃないのか?

…ふと思った疑問を千景は胸の中にしまった。



教室につくと、いつも以上に教室は賑やかだった。

「どうしたんだろ?」
怜は鞄を置くと、クラスメートのもとへ行った。

翠と千景もそれにならって、鞄を置きみんなが集まっているところに行った。

「…もしかしてさっきの怜が言ってた女子アナの話かもよ?」
考えたくも無いことを千景はあっさりと言った。


「今日転入生が来るんだってさ〜」

どうやらその転入生は女性で職員室で見た人によるとかなり美人だったらしい。
うちのクラスの担任と話していたからこのクラスに来るんじゃないかと噂がたっていた。



「というかこんな時期に転入って有り得ないだろ?」
「でもあんな美人見たことないぞ?」

自称美人ハンターのクラスメートが言うには間違いないらしい。


しかし…4月に転入生って。
新学期はもう始まってるんだぞ…?
翠は不思議に思っていた。



どうやら千景も翠と同じ事を考えているらしい…不思議そうに首を傾げていた。








.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ