−長編オリジナル−
□1.死神
2ページ/2ページ
今日の仕事は多分割と簡単なはずだった……。
一人の死んでいるはずなのに死んでいない、少年を冥界に連れていけば良いだけなのだから……。
「デスクワークより、こっちの方がやっぱり楽チン♪」
死神にも、資料の整理やミスの後片付け等、デスクワークもある。
でも、刹那は身体を動かす方が好きだった。
「さてと…たしかこの辺りのはず」
刹那は翼を動かすと、低空へ移動した。
「この家かな?」
明かりの点いた二階の窓を覗き込むと、一人の少年が机で勉強していた。
…資料にあった少年、翠。
少年が顔を上げるとふと目が合った気がした。
普通の人間に死神が見えるはずは無い。
気のせい………?
刹那がそう思っていると翠はびっくりした顔をして、カーテンを慌てて閉めた。
…………??
それが彼との出会い。
.