幸×政(サス×コジュ)

□優しく殺めて
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「幸村…」

「何でしょうか…」

「明日の、関ヶ原…」

「ああ、某達は戦う事になるでしょうな。」

「…戦いたくないよ…嫌だ…」

「某も、同じ気持ちでござる。」

「嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ。」

「武士という身分は、変えられないのでござる。政宗殿だって、わかっている事でしょう?」

そんな事で泣かないでください。
某とて、泣きたい気持ちでいっぱいです。
しかし、ここで泣いてしまったら、政宗殿と戦えなくなってしまう。
政宗殿への愛で。

「逃げよ。ねえ、逃げよう…」

「駄目でござる。」

「戦いたくない。殺しあいたくない…」

「…」

「駄目なの?なんで?」

「…どちらかが勝ち、どちらかが負けて命を落とす。前者が政宗殿、後者が某、どうでしょうか?」

「嫌だ…そうなったら、俺を、殺せ…まだ、死にたくはないけど、幸村にだったら、殺されてもいい。」

「それが、政宗殿の願いならば…」

「そう。願い。俺の、最後の願い。」

「分かりました…」

「その時は…優しく殺めて…」

「はい。仰せのままに。」

政宗殿が笑ってくれた。
美しい。

「幸村…!?」

「すみません。もう少しこのままで…」

衝動に駆られて政宗殿を抱き締めた。
もう、離さんとばかりに。

「俺も、このままがいい。」

「…政宗殿…寂しくなってしまう。」

「大丈夫だ。俺が幸村の背後霊になってやる。」

「政宗殿が背後霊ならば、心強いです。」

「俺が幸村に殺されるとして、その後どうするの?」

「さぁ、わかりませぬ。」

「ふーん。」

「ただ、姿は消そうかと。」

「幸村…」

何故そんなに沈んだ顔をするのだ。

「そんなんだったら、俺も生きたい。」

「その場にどちらかの死体が無ければおかしく思われるでしょう?」

「ああ、そっか。」

「おーふたりさん。」

「佐助!」

「死体なら、俺様に任せなよ。」

流石佐助だ。
有能な忍びだ。

「佐助が死ぬの?」

「竜の旦那、俺様の影をあんたに化かして死んでもらうの。俺様まだ死にたくないわ(笑)」

「そうだよな。」

「で、あんたたちは、どうすんの?」

「…俺の、隠れ家、来るか?」

「隠れ家などあるのですか?」

「うん。森の奥にな。」

「では、そこに身を置きましょう。」

「まー、決まったなら、寝た方が良いんじゃない?明日早いんだし。」

「そうだな。」

「おやすみなさい。政宗殿」

「おやすみ、幸村。」

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関ヶ原の戦い当日

この日、政宗と幸村を見たのは伊達軍、武田軍だけだった。
戦いの終わった後は、誰一人として見ていない。
勿論、政宗の死体も見た者もいない。
そして、佐助の姿を見た者もいなかった。

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結局、題名と関係ない。←おい(笑)

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