***

□アイ4 -前編-
1ページ/9ページ

「ではー、今日は5日デスからー、キカワ、ノートを集めて持ってきてくださいネー」
「は、はい」

英語の授業が終わり、今日提出の課題ノートを集めて持ってくるという役が木川に回って来た。
教師に指名されて、木川が思いっきり緊張しながら返事をしている。
以前までは指名されようが頷くばかりで声も上げなかったのに、中々進歩だと思う。


40人ほどのノートはオレからすれば大した量じゃないけれど、小柄な木川だとかなりの大荷物のように見える。
それを少しヨロつきながら教室を出ていった。


クラスメートに話しかけられて相手をしているうちに木川が出ていって、ああ、手伝おうと思ってたのに・・・
適当に話を切り上げて木川の後を追いかけた。





「木川」


小さな後姿に声をかけると、びくりと体を震わせて振り返った。

「に、二階堂君・・」

オレの姿を見つけた木川が、ふわっと頬を緩めた。

「手伝うよ」
「い、いいよ。大丈夫、だから」
「木川と一緒にいたいの」
「あ・・・」

さっとノートの大半を取り上げると、木川は顔を真っ赤にして俯いた。
残ったノートを胸に抱いて、僕も、とか、嬉しい、とか呟いているのが聞こえて自然と笑みが浮かんだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ