***

□アイ1 -前編-
1ページ/10ページ


「二階堂ー!今日カラオケいかねー?」
「おー行くー」
「やった、T女に声かける予定だけど、二階堂いるんなら可愛いの集まりそう」
「え?何々?T女と合コン?オレも行きたい!」

放課後、友人の花山にカラオケに誘われて軽く頷けばいつの間にか合コンになっている。
まあ、いいけど。
オレは二階堂貴裕、友人は多い方。
割と顔が整っているおかげで合コンの餌にされること多数。
誰とでもすぐに仲良くなれる方だし、女にキャーキャー言われるのは嫌いじゃないからそれは別にいいんだけど。


--ドン


「っと、悪い、木川」

友人たちと教室を出ようとしたところで、クラスメートに肩が当たって軽く謝る。
木川はオレに目を合わせることもなく小さく首を振ると走って出ていった。

「何あれー」
「相変わらず木川は暗いなあ」
「だからって謝るくらいしろよなー」
「まあまあ、小さく言ってたからさ」
「あんなやつ庇うの?」
「二階堂は二階堂で相変わらずお人よしだな」

クラスで・・・多分学校中で一番暗いやつ、木川蒼汰。
この学校で誰かと話しているのを見たことがないくらい、見事な根暗野郎。
別にオレは木川が可愛そうだから庇ったわけじゃない。

オレみたいなクラスで目立つ存在が、木川を邪険にすれば悪い方に目立つからだ。
もしもそれがイジメに進展した場合、事が露見すればオレが首謀者になる可能性が高い。
だから、適度に話しかけてそういった空気を作らないようにしているだけだ。
話しかけるとはいっても、さっきのような軽い言葉、もしくは挨拶程度だけども。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ