短編だったりシリーズっぽかったり

□告白記念日 2
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「あ、の・・・」
「・・ないでください」
「ふえ?」
「遠慮、しないでください。オレも嬉しいですから」

・・・そっか、嬉しかったんだ。
僕と同じことを感じてくれたのが嬉しくて、ぱっと顔を上げた。
思ったよりも顔が近くにあって、その距離にまだ慣れずパクパクと口をぱくつかせる。


ダメ!心臓が壊れそう!


ギュウッと彼に縋り付いて顔を隠す。
いつも泰然と構えている彼が、ビクリと震えるのを感じて、誤解はさせたくなくて急いで口を開く。

「あの、ね」
「はい?」
「君も・・・敬語じゃない方がいいな・・・」
「え?」

彼が体を離そうとするのを感じて慌てて力を込める。


も、もうちょっと待って!


僕の気持ちが通じたのか、彼はそれ以上離れようとはせず、再び抱きしめてくれた。
もー、この包容力、絶対年下なんかじゃないよね。
僕の方が年上なのに、何だか悔しい。

「先輩?」
「んと、ね・・そろそろ、名前で呼んでほしいな・・・」

なんて、ちゃっかり要望を伝える。
けれど、彼はびくりと震えたまま何も答えてくれない。
ダメ、だったのかな・・・
不安になって顔を上げると、彼の大きな掌で目を覆われた。
真っ暗になった視界では彼の顔が見れない。


どうして?
気に障ることだった?
嫌だったんだろうか・・・
もしかして、僕のこと・・・好きじゃなくなった?
付き合って、僕のことそんなに好きじゃないことに気付いたとか?
でも彼は優しいから、今まで同情でつきあってくれてたとか?
だから、いつまでも余所余所しいの??


次から次へと暗い思考が浮かんでしまい、涙が溢れた。
僕は嫌われたんだ。その事実が身を切られそうなくらい悲しい。
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