短編だったりシリーズっぽかったり
□誰よりも誰よりも -後編-
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「・・・金山先輩、可愛い・・・」
抵抗を見せないオレを青柳は口元だけ笑みの形を作ってなおもキスを落としてきた。
首輪は緩められて酸素は入って来たけど、もう何かをしようと体を動かすのも億劫だった。
青柳がオレを犯すなら、もう好きにすればいいとさえ思ってしまった。
「先輩、上山に何をされたんです?」
当然のように尋ねられたが・・・口を開ける気にもならなくてぼんやりと視線を飛ばした。
腕も足も痛くて感覚はないし、胸やら股間やら・・・散々蹂躙されてジクジクと熱が疼いているし・・・最悪だ。何もかもが最悪。
「金山先輩が、どうして上山なんかに体を好きにさせたんですか?」
口を開く気がないことはわかっているはずなのに、青柳は質問を止めない。
青柳の目から光が消えていく。
声を荒げているわけではないのに、青柳の怒りが伝わってくる。
「オレがいない隙を狙いやがって・・・上山・・・ぶっ殺してやる・・・先輩を・・金山先輩をこんな目に合わせて・・」
ぶつぶつと呟く声が聞こえてきて、苛立ちが強くなってきた。
青柳はオレの体を撫で始めて、何があったのか探ろうとしているようだった。
「よくもこんな・・・ああ、後ろもこんなに柔らかくなって・・・上山を受け入れたんですね」
「っ・・・く・・・」
唐突にヒクつく後ろに指を入れられて、慌てて唇を噛みしめた。
先ほどから散々快感を覚えさせられていた体は、些細な刺激にすら反応を示す。
「切れてない・・・金山先輩、大人しく解されていたんですか?あんなに大量に射精するくらい?・・・先輩は、上山を受け入れたんですか?」
青柳の言葉に瞬間的に怒りを覚えたが、反応すればそれだけ青柳を喜ばせてしまいそうだったので、寸で声をかみ殺した。
青柳はなおも指を動かしながら、ベッドに投げ出された電マやバイブに手を伸ばした。
「・・・ああ、こんな道具を。そうか、金山先輩はこういう玩具を使うのが好みだったのか」
電マのスイッチを入れると、無造作に陰茎に当てられた。
「うっ・・・くぅ・・・」
イッて体が快感を覚えている内に直接的な刺激を送られて、たちまち起ちあがる。
無理やり感度を上げられて、屈辱に涙が浮かんだ。
「オレが舐めても起たなかったのに、こんなもので簡単に起つなんて・・・先輩って、変態?」
怒りを抑えることができず、目の前が真っ赤になった。
「てめえのせいだろうが!おまえのせいで上山が調子に乗って人の寝込みを襲ってきたんだろうが!おまえが!オレの部屋のスペアなんか作るから!!」
屈辱で思い出したくもなかったが、いつの間にか部屋のカードキーのスペアを作られていたらしい。
青柳が遠征先に持っていかなかったのを上山が見つけて・・・
そこから先は思い出したくもなくて、ギリッと青柳を睨み付けた。
オレの言葉を聞いた青柳が、カチリと電マを止めた。
「・・・ごめんなさい。オレのせいでしたね。上山が金山先輩に興味を持ったことに気付いてたのに、うっかりキーを忘れていったなんて・・・」
青柳が済まなそうな顔をしてオレに口づけた。
顔を背けたが、そんな抵抗などないかのように唇を食べるかのように大きく口を開けて、ずるりと舌を差し込んできた。
「金山先輩、先輩、ごめんなさい。こんな、怖い目に合わせてごめんなさい」
青柳はキスの合間に何度も何度も謝罪を繰り返した。
謝罪しているのに・・・後ろを蠢く指は止まらず、青柳の目の昏さは変わらない。
底しれない恐怖に体が動かなくて、己の情けなさを思い知る。