短編だったりシリーズっぽかったり
□誰よりも誰よりも -後編-
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--ガッ!ドガッ!!
さらに鈍い音が続く。
上山が抜けた後ろがぽっかりと開いているのが自分でもわかった。
情けなくもヒクついていることすら・・・
自分の体を恨めしく思いながら音の方を見ると、
「あ、おやぎ・・・」
ガラガラに枯れた声がかろうじて音になった。
遠征でいないはずの青柳がオレの部屋に現れて、上山を殴りつけていた。
何故ここにいるのか見当もつかず、呆然と名前を呼ぶと、ピタリと拳を止めてオレの方を見た。
「っ・・・」
瞬間走り抜けたのは殺気と恐怖。
青柳が何の表情も見せないまま、怒りと殺気を漲らせてオレを睨み付けていた。
胸倉をつかんでいた上山はグッタリと脱力し、気絶しているのかどこか痛めたのかピクリともしない。
--ドサッ
重い荷物を無造作に落とすと、青柳がこちらに向かってきた。
押さえようのない恐怖に思わず視線を逸らす。
「金山先輩」
場の空気や表情に一切そぐわない優しい声音で名前を呼ばれる。
それでも顔を背けていると、乱暴に顎を掴まれる。
「助けに来るのが遅くなってごめんなさい」
視線を逸らすことも出来ないほど顔を近づけて、何故か青柳が謝罪した。
何も言うことができず、ただ無言で青柳を見つめ返すと、青柳が顔を近づけてぺろりとオレの顔を舐めた。
「金山先輩の味だ・・・上山にされたんですね・・・こんな・・・」
必死で怒りを抑えるように、何度も何度もオレの顔を舐める。
生暖かい青柳の舌、オレの精液を舐めて生臭い息がかかる。
口を開けばそのままキスをされそうでひたすら口を閉じて耐えた。
「こんな・・・たくさん出すほど、気持ちよかったんですか?」
ゾワリと背筋に悪寒が走った。
青柳の表情は先ほどからピクリとも変わらず、責めるわけでもなくただ事実を訊ねてくる。
口を開くのも億劫で、横を向いて目を閉じた。
・・・他に何もできることなんかなかったから。
--グイッ
「んぐっ!?」
もう一度顔を向けられて、今度はキスをされた。
意地でも口を開かないでいれば、首輪を締められて呼吸を止められる。
ギリギリと容赦なく締め上げられ、我慢が出来ずに口が開いた。
「ぐっ・・あ・・」
開いた口の中に青柳の舌が入ってくる。
自分の精液が苦くて不味くて屈辱的で、その舌を噛んでしまいたいのに首輪を締められたままだから力を入れるどころかどんどん意識がぼんやりと遠退いて、青柳の舌を従順に受け入れた。
青柳は散々咥内を蹂躙し、唾液を散々吸い付くし自分の唾液を送り込んできた。
いい加減正気を保ってられなくて、カクリと頭が落ちた。