短編だったりシリーズっぽかったり

□誰よりも誰よりも -前編-
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「・・・心底悪趣味だな、てめぇ」

後ろ手に縛られて、棒枷に両足を広げて縛り付けられて陰部を隠すこともできず、その上棒が食い込んで痛みに顔が引きつった。
わざわざ人の部屋に乗り込んでこんな悪趣味なことをしやがって。
オレの姿を見て心底楽しそうな笑顔を浮かべる上山を睨み付ける。


「まあねえ、他人なんか一切寄せ付けない金山先輩を好き勝手できるんなら、何て言われても楽しいだけだけどねえ」


目尻の下がった瞳を愉悦に歪ませて、ゆるゆるとつま先からゆっくりと辿られる。


「青柳が遠征で留守なんて・・・こんなチャンスを見逃す手はないよね。あいつがいない間に金山先輩が淫乱な雌奴隷に成り下がってたら・・・あいつどうなっちゃうかなあ」


軽い口調で、無邪気に笑いながら戯れるように肌を撫でていく。
気色悪くて吐き気に悩みながら顔を背けて耐える。
オレのささやかすぎる抵抗を面白そうに見つめながら、徐々に胸元へと指を移動させていく。


「怒り狂うのは当たり前として、オレ殺されそう。ぶはっ、爽やか好青年な顔がどんだけ歪むかすげえ楽しみ」


上山はオレをいたぶるだけでは飽きたらず、青柳すらおちょくろうとするつもりらしい。
とうとう胸の突起にたどり着いた上山の指は、その周りをくるくるとむず痒い刺激を与える。
触られるだけで気色悪いのに、無理やり性感引きずり出そうとする動きに目が細くなって上山を睨み付ける。


「オレを排除した後は、金山先輩を無茶苦茶に犯すんだろうなあ。ああ、それも見たいから死にたくはねえなあ」


たまに突起の先端に爪を引っかけつつ、何度も何度も指を動かしている。
全裸で縛り付けられているため、体の状態を全て暴かれている。
気色悪くて萎えきっている陰茎も、鳥肌を立てている肌も全て。


「青柳って余裕ねえよなあ。金山先輩みたいなタイプはガツガツいったって逆効果なのにねえ。先輩はインポじゃねえしMッ気あるんだから、どれだけでもヒイヒイ言わせられるのに」


以前の行為を思い出したのか、くつくつと笑う。
青柳に脅されて好き勝手されて、さらに上山にまで変なもんを塗られて体がいうことを聞かなくなったことを思い出した。

「くそが・・・」

さらに青山にイカされたことまで思い出して毒づく。


--グイッ


「っぐ・・・な・・」

思いっきり首のモノを引っ張られて喉が締まる。
息を詰まらせながら上山を睨み付ければ、どこまでも面白そうな笑みを浮かべたままでさらに顔を近づけられた。

「意地張っちゃって。ドMな先輩はあれが気に入ったんでしょ?だから青柳に首輪を嵌められても大人しくそのままにしてるんだ」


オレの首には黒い革の頑丈な首輪。
外せるもんならとっくに外している。
けれども、特殊な鍵がなければ外すことができない。
色々試したけれど首が傷つくばかりで、首輪にはろくに傷もつけられなかった。

そんな詳細を上山に親切に話してやるつもりはない。
それに結局、現状に甘んじているのも本当だから。
あいつの所有と執着を現すような頑丈な首輪にうんざりしながら上山から視線を外した。

「青柳いいなあ。オレ、自分の犬を作る気はなかったけど、金山先輩なら欲しいなあ」

首が締まっているのも構わず、上山はさらに首輪を握って引っ張っている。
上山のたるい戯言にも、無遠慮に首輪を引っ張るのにも苛立たしくて、不自由な体を動かして思いっきり上山に頭突きをかました。

「いったー・・・もう、こんだけされといてまだ反抗する気力があるなんて」

涙目になって額を抑えた上山がオレを恨めしげに睨み付ける。
けれど、すぐにオモチャを見つけた子供のような笑顔を浮かべる。
気のせいでなく背筋に嫌なものが走った。

「・・・ホント、金山先輩っていたぶり甲斐がある」

ペロッと唇を舐めた上山は、何かに手を伸ばした。
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