短編だったりシリーズっぽかったり

□憑いてるネ☆乗ってるネ♪ -続編-
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--ガタガタガタガタガタガタ・・・・・


落ち着きたい。
本音は滅茶苦茶落ち着きたいのだが!
目の前の衝撃的な現実に、どうにも体の震えが止まらない。


「んもおおおおおお!!思ってたのちがあああああうううのおおおお!!!」


唐突に絶叫を上げられてさらに体が震えた。

「お、おおお、落ち着け、落ち着くんだオレ、すっげえ帰りたいけど、逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃ・・・」

とりあえずアレだ。
落ち着くためにもちゃんと整理しよう。



今日、何故か夏目の母さんから、今朝から夏目の様子がおかしいから家に来てくれないかって連絡があって向かったところ、妙なシナを作って絶叫している夏目がいた。

あ、まとめると短かった。
夏目の母さんはどうしても断れない用事があるらしく、オレと入れ違いの形で出ていったからこんな絶叫は見ていないのがまだマシだと思う。
正常なイケメンだと思っていた息子が、ある日突然オカマになるなんて卒倒もんだろうし。



「・・・にしても、何かそれ、多分、オレがよくわかってるやつだよな」

夏目は一つ年下だけど、学校でも指折りのイケメンで、バスケしてる姿は女子生徒もキャアキャア騒ぎまくるくらい格好よくて・・・・・冗談でもこんなオカマ言葉なんか使わない。

・・・何かに憑かれてない限り。

「えっと、夏目。声、出せる?」

オレが夏目の状態に気付いたことに気付いた夏目が涙目で必死でこっちを見つめてくる。

「声ぐらい出せるわよ!失礼ね!もおお!それよりせっかくのイケメンなのに、相手がこんなちんくしゃだなんってえええ!」

・・・あれ?夏目じゃないってわかるけど、夏目からそう言われると何かテンション落ちる気がする。

オレがこっそり傷ついていると、夏目が必死な顔になっていた。
乗っ取られても、結構表情が出るもんなんだな。
オレの時もこうなのかな?

まあ、オレのことはおいておいて。

「とりあえず、夏目に誰かが憑いたのはわかった。そいつは憑依に慣れてねえんだ。だから、出てってくれないか?」

オレ以外の誰かが憑依したなんて初めてて、どうしていいかわからなかったが、オレが憑依された時によくしているように穏やかに話しかけた。

「いやよおお!せっかく念願のイケメンになれたのに!どうして何もしないのに出ていかないといけないの!?アタシ、何も悪いことしてないわよ!!」
「いや、現在進行形で悪いことしてるから」
「何がよ!?」
「おまえは死んでるの。なのに生きてる夏目にとり憑くなんて、悪いに決まってるだろ」

霊って自分勝手で欲望に正直で一番強い想いに従っていて、説得なんか思いっきり難しい。
だからって諦めたり投げ出したりなんかしないけど。
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