短編だったりシリーズっぽかったり
□憑いてるネ☆乗ってるネ♪ -後編-
1ページ/9ページ
春、無事オレの通う高校に合格した夏目は、溜まりに溜まった性欲を隠しもせずにオレにぶつけてきやがった。
おかしいな、あれからも憑依されて夏目に昇天してもらってるし、それ以外でも勉強する日以外でもしょっちゅう犯ってた気はするのに、ほんの1、2週間しないだけでそこまで我慢できなくなるものなのか?
なんてことを言ったら、馬鹿なワンコはさらに一層激しくオレを貪ってきたのだが・・・
夏目は何の迷いもなくバスケ部に入部してきた。
奥寺先輩だけでもバスケ部はキャーキャー騒がれていたのに、そこに夏目まで入って双璧とも言えるイケメンバスケ部が出来上がってしまった。
おかげで、マネージャー候補は後を絶たないわ、入部希望者は倍に膨れ上がったわ、単なる練習なのに見学者は列を為してるわで毎日放課後の体育館はお祭り状態だ。
夏目は宣言したとおりイケメンっぷりを磨いている。
身長はとっくにオレを抜かしているし、少し長めの髪は軽く色を抜いて優しげな雰囲気だ。
甘めで優しげなイケメンってだけでも女の子の反響は凄まじいのに、エロテクを磨いているせいか、ふとした仕草や小さく微笑む口元やその流し目がエロいともっぱらの噂だ。
そのくせ、オレといるときはワンコのように可愛らしいと、夏目のファンは日を追うごとに増えていっている。
・・・これだけ女の子に騒がれるようになったんだ。
夏目はオレなんかとシテいる場合ではなく女の子と付き合うべきなのかもしれない。
最初の体験はインパクトはあっただろうが、そこはそれ、夏目は元から男とするのが好きなわけではないだろうし、女の子としてみてそっちの方が良ければオレは何も言うべきではないかもしれない。
いや、むしろ年上らしく、彼女の一人でも斡旋して一回経験してみろよとか格好良く言ってみるべきかもしれない。
そんな女の子は心当たりが全くないが!!
「東山、ボーっとするな。ちゃんと集中しろ」
「あ、はい!すみません!」
部活中、ぼんやりと夏目を見ているのがバレて奥寺先輩に叱咤される。
慌てて意識を戻せば、目の前に奥寺先輩がいた。
「どうした?具合でも悪いのか?」
ペタリと額に手を当てられ顔を覗き込まれる。
顔色を見ているのかも知れないけど、やけに近い気がする。
「い、いえ、別に具合はどこも悪くないです」
顔面間近に超イケメン顔は、その気がなくても照れてしまう。
慌てて体を離そうとしたが、首に手を当てられた。
ギャラリーの悲鳴が大きくなった気がする。
「ひゃっ!?」
ぞくん、と快感に小さく声を上げてしまう。
「熱は・・・特になさそうだが」
ああ、熱を測ってくれてたのか・・・奥寺先輩はスキンシップが多いからこれもその一つなのだろう。
などと考えていると、後ろからグイッと腕を引かれた。
ギャラリーの悲鳴がさらに大きくなる。
「え?あ?夏目??」
パス回しをしていたはずの夏目が、オレの腕を強く引いて奥寺先輩を睨みつけている。
イケメン二人に挟まれたオレは、圧迫感と色んなところから感じる恐怖に何故か体が震えそうになった。
ギャラリーの女子の目が痛い・・・奥寺先輩に心配されて、夏目に後ろから抱きつかれるように密着されて、その視線がぶすぶす突き刺さって精神が折れそうだ。
「東山先輩の具合が悪いなら、オレが送って行くっす。キャプテンは部活続けてクダサイ」
おいおい、夏目?いつもの優しくて可愛い笑顔はどこに置き忘れてきた。
メッチャ怖い顔になってるぞ?
「だったらキャプテンのオレが送って行く。夏目は練習に戻れ」
奥寺先輩、部員の具合が悪いくらいでキャプテンが送ったことってありましたっけ?
キリッとした涼しげなイケメン顔で堂々と言われても、こっちは初耳だ。