短編だったりシリーズっぽかったり
□憑いてるネ☆乗ってるネ♪ -前編-
2ページ/9ページ
そんな夏目に本格的に力を貸してもらうことになったのは・・・
オレが中学3年、夏目が2年の頃・・・
(あああ、どうしよう。すっげーめんどくせーのに憑かれた〜)
「ちょっとー面倒くさいってどういうことよ!」
これはオレの口が言った言葉。
どこからどうみても可愛げの欠片もない中学生男子が、オカマ言葉を口にするって・・・どんだけ精神的暴力だと思う。
今オレが憑かれてるのは20代くらいの女の霊。
相手が女のせいか今までのようにオレが主導権を取ることができず、女の霊が表面化してしまいオレを半ば乗っ取っていた。
どうせこいつも欲を満たしたらさっさと離れるだろうと思ってたから不安になることはなかったが、それでも自分がオカマ言葉を使うのはやっぱり精神的に疲弊する。
「だからー、オカマ言葉ってやめてよ。アタシ、うら若き女性なんだからー」
・・・早く昇天してほしい。もしくはせめてオレが主導権を取りたい。
「東山先輩ー」
その時、どんなタイミングかと言わんばかりに夏目がやってきた。
「やだ、あのイケメン誰?ちょーカッコ可愛いんだけど!」
ああ、そうだな。あいつは夏目と言ってオレの後輩なんだ。
確かに可愛らしいしカッコいいよな、学校中の女子が夏目クーンといって騒いでいるよ。
「ああ・・・いいわあ。あの子で」
・・・・何が?
「東山先輩。今から部活っすか?それとももう帰るんすか?」
キラキラと目を輝かせて尻尾でも振っていそうな様子で近づいてくる夏目に返事をしたいが、あいにく今のオレは何もできない。
「先輩?どうしたんすか、何か・・・変?」
夏目はオレの体質は話してない、というか、こんなもん誰も信じないから誰も知らない。
すると、女はにいっと笑うと夏目の腕を取ってどこかへと歩き始めた。
「東山先輩?」
不思議そうに首を傾げながらそれでも大人しくついてくる夏目に、何故か逃げてーと言いたくなった。
何だろ、こいつは何がしたいんだろ?
「あのねー、ちょっと手伝ってもらいたいことがあるんだあ」
「はあ、別にいいっすけど・・・何か話し方違いません?」
夏目がオレの違うことに不審げにしている。
当たり前だ、普段のオレはこんな媚びたような甘えたような話し方なんかしない。
オレの体を乗っ取った女は体育館倉庫に夏目を連れ込んだ。