短編だったりシリーズっぽかったり

□変態とオレと、時々、猫
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「・・・で、三匹も子猫なんかどうしたんだよ?飼い始めたの?」

にやにやとオレの動向を見守っていた変態は、オレの質問にん?と首を傾げた。

「ああ、親の知り合いから2、3日預かってほしいって言われたんだよ。子猫を他人に預けるとか信じらんねえよな。しかも何か急用ができたとかで、親はオレに世話押し付けてくるし」

憤慨しながら子猫をあやす変態ってのも、何か違和感だ。
そんで、その猫を使って変態なことをしようとしてるおまえも信じられないぞ。
てか、猫の世話を一人で見るのがダルいからオレを呼んだんじゃねえだろうな?
大歓迎だこのやろう!
・・・じゃなかった、とにかく、このモフモフを変態の毒牙にかけることは許さない。


「じゃあ、納得したところで服脱げや」
「説得雑か」

真面目なイケメン決め顔で命令されたってオレが言うこと聞くわけねえだろ。

「・・・・」

しばし睨みあっていたが、あいつはポン、と手を叩くと子猫三匹を自分の下へと呼び寄せる。
あ、ずるい、猫が寄ってくるなんて羨ましい!
しかも三匹とも自分の膝に乗せると、

「いいのか、卓巳?この癒しのモフモフは現在オレに懐きまくっている。お前が言うことを聞かなければ、このモフモフは今後一切触れることはならんのだぞ!」
「っく、卑怯な!」

悪の親玉よろしく、ふはははと笑われたが、オレからすればまさに悪の親玉、悪の帝王だ。
オレの目にはもはや三匹のモフモフは捕らわれた姫にも等しい存在だ。
ニャーニャー鳴きながら変態野郎にゴロゴロと懐くのを涎を垂らさんばかりに眺めるのみ!
あいつはにやにやと笑いながら、じゃれかかる子猫を撫でながらオレを見る。


「今日のプレイはな?卓巳とこのモフモフが無茶苦茶仲良くなれるものなんだけどなあ?」
「え・・え?・・・そ、そうなの?」


変態大王のこいつが言い出す提案が、そんな可愛いものじゃないのはわかっていたけれど、でもやっぱり小さくてフワフワした柔らかい生き物と仲良くできるとか言われたら、そりゃあグラつく!


「何でこいつらがオレにここまで懐いたと思う?先にオレが試したからに決まってんじゃん」
「そ、そそそうなんだ?」
「うん、オレだけじゃ信憑性薄いけど、卓巳も実験してみて成功したらオレの考えは正しいってことになるじゃん?」
「そそそそうだな!」

こいつもしたんだ、だからこのモフモフはそんなに懐くんだ。
オレもしたら懐くのかな?懐いたらこんな風にじゃれてくれるのかな??

グラッグラに揺れているオレを見て変態野郎はにやりと笑ったが、モフモフの虜になっているオレは気づきもしなかった。

「じゃあさ、今回の実験、卓巳も協力してくれる?」
「はい、喜んで!」

気づけば全力で頷いていた。
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