短編だったりシリーズっぽかったり
□変態観測
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・・・オレは、たまに自分がものすごく頭が悪いんじゃないかと思うことがある。
今日もイケメンなんだけど、残念なくらい変態な親友の部屋に遊びに来て、扉を開けた途端に全身の力が抜けた。
「お?卓巳。遅かったな〜・・・何やってんだ?」
扉を開けた状態で部屋にも入らずorzとなっていたオレに、この変態イケメン様は不思議そうに声をかけてきた。
「な・・な、なんて恰好してるんだ!!」
「似合う〜?」
「ああ、意外に着こなしててビックリ・・・って、違う!!」
ガバッと顔を上げてもやっぱり見間違いじゃなくて、つい思ったままを返したけれど、そういうことじゃないことに気付く。
「・・・で?今回はなんなんだよ。カッパの着ぐるみ?なんか着て。どっかでバイトすんの?」
部屋の中央で、イケメンポーズをとっていたこのバカは緑の全身タイツで妙なマスクを・・・カッパらしき格好でスタンバイしていた。
多分オレに見せるためだと思うけど、心の準備ってものがなかったオレは心臓が飛び出すかと思ったよ。
「バイトじゃないよ。とりあえず、卓巳もこれ着て」
「は!?オレも!?嫌だ!!」
「まあまあ、外には出ないから。卓巳はオレと違ってチミっ子サイズな〜」
「うっせえ!」
「うそうそ。Sサイズな」
はい、と無理やり押し付けられた緑の物体を、とりあえず窓の外に投げ捨てたくなった。
それをしなかったのは、変態イケメンの笑顔のプレッシャーを全身で浴びたためだ。
「は・や・く。は・や・く」
「変な合の手やめろ!まず説明しろ、なんなんだ、学芸会か??」
「やだなあ。そうじゃないってことは、卓巳がよくわかってるくせに」
いや、わかってるよ?
きっと何らかの変態好奇心に関係するんだろ?
それを自分で言いたくないから言わないだけだよ!
「・・あれ?これ穴空いてるぞ?」
「あ、それね、わざと空けたんだ〜」
「は?」
「ちゃんと卓巳の乳首とチンコの位置に合わせてあるから。心配すんな!」
グッと親指を立てられたけど、一体何を安心しろと?
「も〜ノリ悪いな。オレだけこんな恰好させるなよ。早く着替えろって」
「おまえは好きで着たんだろうが!それに、これ着たら諸々見えるじゃん!やだよ!!それに、おまえ説明してないじゃん!」
「じゃ、説明したら着るんだな?」
「へ?あ、いや・・・」
「今回はさ、着ぐるみの間抜けな格好で萎えないかどうか実験したいんだー」
・・・なんか、こいつにしては大人しい興味なような。
「ほら、説明したんだから着てよ」
今度こそ有無を言わさない笑顔に、オレは気圧されるまま着替えてしまった。
「ぶっはははは!間抜けだ!やばい、卓巳、超ウケる!」
無理やり着替えさせられて、頭にカッパマスクもつけられたオレはベッドに追いやられてじっくりと眺められた。
乳首やらチンコが見えるから手で隠していると、変態野郎がゴロゴロと転げまわって爆笑していた。
何この羞恥プレイ!
罰ゲームか!!
「カッパだ!カッパ様だ〜!」
・・・何でオレはこいつと友達やってるんだろう。
ふと遠い目になって、オレは現状を憂えた。