短編だったりシリーズっぽかったり
□禁断の教室
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ある休み時間のクラスの中心で、メガネをかけたモデルのようなインテリイケメンが、まるでスーパードルフィのように恐ろしく美麗で愛らしい少年の顔面をアイアンクローしていた。
「司!てめえ!これは三日前に教えたばっかじゃねえか!何で答案真っ白なんだよ!他の問題の答えはどうしたーーー!!」
メガネイケメンが手にした用紙は、愛らしい少年のもののようで、答案結果としてはいっそ清々しいほどの0点。
「何!?三日前??そんなもん忘れてるに決まってんじゃねえか!健彦は頭悪いのか!?オレがそんなことも覚えてられないことくらい知ってるだろうが!」
お人形のような少年、司は、その容姿に似合わない怒鳴り声を上げ、メガネイケメン、健彦のアイアンクローを掴んだり、足を蹴ろうとしたりしている。
「威張るなああ!!」
--ズシャアアアアッ!!
司の華奢な体が派手にすっ飛んで行く。
教室でこれだけ騒げば誰か注意くらいするものだろうが、すでに日常らしく、「健彦、せめて司の顔は傷つけるなよー」とのんびりした声しかかからない。
当然、ヒートアップした健彦には届かない。
「司が頼み込んできたからわざわざ無駄と思いつつ教えてやったんじゃねえか!なのにやっぱり全部無駄じゃねえか!オレの時間を返せ!!!」
毎度毎度のことなので、誰もツッコミを入れないが、
(だったら毎回毎回つきあわなきゃいいのに・・・)
すでに全員の以心伝心だ。
それでも健彦の面倒見の良さを皆はわかっているし、司の頭の悪さはギャラクシーレベルなので、どうにかしてやらないと、と思ってしまうのも仕方ない。
それに、このやり取りも割と面白いので、ほぼ全員が微笑ましく見守っている状態だ。
「・・・ひどい」
床に投げられて、頬を抑えた司が、涙を浮かべて健彦を睨み付けた。
「ひどいわ、お義姉様!!司、こんなに頑張っているのに!?」
「司さん、努力には結果が伴わないと世間は評価してくれませんのよ?」
(あ、第二部にいったか)
すでに二人の掛け合いは展開しており、何やらベタな会話になっている。
「お義姉様!そんな難しい言葉、司がわかるわけないじゃない!!」
「・・・司さん・・・お義姉様、もう色々残念過ぎて目から汁が・・・」
男前なほど整っているイケメンが何の淀みもなく女言葉を使うのも寒々しいことだ。
「何を言ってるの?お義姉様??目から出るのは涙と目クソくらいですわよ?」
「まあああお下品!お義姉様は司さんの将来のことを心配して涙を流しているんじゃないの!」
「!!お義姉様!!」
「司さん!!!」