短編だったりシリーズっぽかったり

□告白記念日
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その日、とてつもなく寝起きがよかった。
寝汚い僕としてはとてつもなく珍しくて、ちょっとルンルン気分で学校へ向かったんだ。
そんな日の昼休み。


僕は、学校でも超有名な不良さんに呼び出しをくらいました!

何で僕が!?と周りを見たが、あいにく皆視線を逸らすばかりで・・・
そうだよね、僕でもきっと視線を逸らすよ・・・

リンチされるんだろうか・・・痛いの嫌いなんだけどな・・・
せめて、病院送りにならない程度にしてくれないかな・・・



指定場所にはすでにその不良さんが待っていた。
名前とか、噂ばっかりで、実物は見たことがなかったけど、初めて見たその人は同じ男からみても魅力的なくらいカッコよかった。
年より幼く見える僕より年上に見えて、ゆったりと壁にもたれて僕を待つその姿に目を逸らすことができなかった。
今からリンチされるというのに、ドキドキと緊張していつも以上に挙動不審だよ。

「先輩、急に呼び出してすみませんした」
「ふえええ?」

僕が来たことに気付いた不良さんは直角かってくらいに体を曲げると、なぜか謝ってきた。
今からリンチするのに先に謝るの???

「あの、実は」

じいっと見つめられて、僕の心臓はすでにダッシュを行った後みたいにバクバク鳴っている。
もう一秒だってこの人の前に立ってるのはつらいと思ってしまう。

「先輩好きです!付き合ってください!」

ふ・・・え・・・・?
なに、これ?新しいイジメ?
なんてひどい嫌がらせだろう。
これなら素直にリンチしてくれたほうがずっとマシだ!
でも、やっぱり暴力もイヤだ!!

「僕、暴力とか、流血とかダメなんです!ごめんなさい〜〜うわああああんんん!!!」

色んな思いがグチャグチャに混ざり、一番わかりやすい拒絶の言葉が出た。
そのあとはもうダッシュで逃げるだけだ!


「ひいえええええ」

全力で逃げているはずなのに、不良さんは速攻で追いつき僕を捕獲した。
わかってるよ。僕みたいな運動音痴はどれだけハンデもらったって、逃げ切るなんて不可能だよ〜
今から本格的なリンチが始まるのかと、ガタガタ震えて次から次へと涙が溢れた。

「ごめんなさい!ごめんなさい!た、助けてください〜」

後輩相手にみっともなく取り乱して泣きじゃくる僕を、不良さんはじっと見つめていた。
いつまで立っても殴ることも怒鳴ることもしない不良さんに、ふ、と視線を合わせる。
不良さんは何故か切なそうに眉を寄せると、

「暴力は振るいません」

落ち着いてハリのある声。
その言葉の意味がわからなくて疑問符を出すと、

「先輩には絶対に暴力シーンなんか見せません」

じいっと熱のこもった瞳で断言され、動機が激しくなる。
どうして初対面の、年下の、男の人に、僕はこんなにドキドキしてるんだろう。

「ほ、んと、に?」

それはつまり、僕をリンチしないってことだろうか?
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