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□名もなき実行委員
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※時間軸は適当です。


ウチの学校の生徒会役員は基本的に4名で構成されている。
けれど、大きな行事等があるときは、臨時の実行委員が結成され、生徒会の補佐を行っている。
オレもその一人。
最近、その役目の中で悩んでいる事がある。



現在生徒会室には、副会長と会計様の2名しかいない。
会長様と書記様は、職員室とか書庫室へ機密資料をまとめに生徒会室を不在にしている。
自分の仕事は終わったのか、会計様は忙しそうにしている副会長の手伝い?をしている。

どうして?なのかと言えば、会計様は副会長の横に座って、綺麗な笑顔でずーーーっと副会長に話しかけているだけだからだ。



「遥人ー、飴食べるー?」


普段から笑顔で親しみやすい会計様は、誰に対してもフレンドリーで、また同じ生徒会同士だからか、副会長にも親しい態度で口調も緩い。
副会長は、生徒会役員の中で緊張しないで話しかけられる唯一の人で、色々相談しやすいから、この組み合わせだとちょっとホッとする。


指示された作業を行いながら、ちらちらと二人を観察する。
副会長は資料のチェックをしているのか、厚めの冊子に目を落としたまま、会計様の言葉に生返事をしている。

珍しいな。オレ達が話しかけるときは、どんなに忙しくても必ず目を合わせてくれるのに。


「今日さー、チュッパチャプス見つけてさー、懐かしくて買ったんだー。何味でしょうー?」


会計様は副会長の様子に取り合わず、派手な包装紙の飴を取り出して、えい、と副会長の口に飴を差し込んだ。
ガボッと音が鳴ったけど、副会長は抵抗もせずコロコロと舐めている。


・・・なんか、副会長が可愛いとか思ってしまったり。いやいや。


副会長は一切目線を上げなかったが、もごもごと飴を移動させると、

「んー・・・カスタード?」
「惜しい!。プリン味ー。すっごい甘くない??」
「甘いよ。もったりとした甘さがする」

ローテンションの副会長とハイテンションな会計様。
副会長が不機嫌に聞こえるけど、これで通常だから、二人の会話は普通に仲のいい友達の会話なんだろう。
テンションが違うだけでこうも違和感だとは・・・
それにしても副会長は甘いもの好きじゃないんですか?
もったりって・・・
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