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□名もなき実行委員
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しばらく、ころころと飴を舐める音と、パラパラと紙をめくる音が小さく聞こえた。

冊子に目を落としながら飴を舐めている副会長。
その様子をガン見している会計様。

ん?何か異様な光景に見えるような・・・?


「遥人、オレもちょっとちょうだい」

え?今舐めてる飴をちょうだい??
耳を疑って顔を上げると、副会長はごく自然に飴の棒を会計様に差し出していた。
視線は冊子に落としたまま。


--ちゅぽん


会計様が飴を引き抜くときにやたらと可愛い音がした。
そしてその飴を躊躇いも無く自分の口へと運ぶ会計様。

「あっま〜い」

上機嫌に感想を述べる会計様に、甘いねーと返している副会長。
・・・友達同士でやることだっけ?
オレ、恋人同士でもやんないかもしれない・・・

「はい、遥人。あーん」

存分に舐めたのか、少し小さくなった飴を副会長の口に返している。
目の錯覚かな。
会計様の空気がめちゃくちゃ甘い気がする。
副会長は普通にローテンションだからか、温度差があるよ??


「そうえいばさー、こないだ面白いお菓子もらったんだー」
「ふーん?どんなの?」

自分の仕事をしつつ会計様の相手をしているのって、邪魔じゃないのかな?
積極的じゃないにしろ、淡々と会話を続けているのが不思議だ。

「えっとねー、ジンギスカンキャラメルってやつ」
「何だそれ、甘いの?肉味?」
「さあ?」

さすがに興味を引いたのか、ちょっと眉を寄せている。
いや、それってアレでしょ?
結構有名だよね?悪い意味で。

「味見してみる?」

今あるよーとポケットから独特なデザインのキャラメルを取り出している会計様。

「今、飴舐めてるんだけど」
「オレが舐めるー」

またしてもごく当たり前に、チュポンと取り出した。
で、空いた副会長の口の中にキャラメルを入れ・・・・指、そんな口の中まで入れる必要ある?
口開けてるんだから、ポイ、でいいんじゃないの?
あ、その指舐めましたね?何で??
あと、副会長、ちょっとは身の危険感じたほうがいいんじゃないの??
そのキャラメル、あれだよ??


心配しながら見ていると、楽しげな会計様。
無表情でキャラメルを噛み締めたと思われる副会長。
一口噛んで、ちょっと止まる。
しばらくして、もう一回噛んでみ・・たところで完全に止まった。
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