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□朝比奈さんちのハルトくん
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オレは席が隣だから朝比奈と話すことが多いんだ。

「おっはよー、朝比奈ー」
「っはよ、大野」

低血圧なのか朝はさらにテンションが低い。
1限から体育がある日は悲壮感すら見える。

「なあなあ、朝比奈。英語の宿題やってきた?」
「やってきたけど、見せないよ?」
「ええええ??」
「何でそこまで驚くんだ・・・英語は4限だろ。休み時間ごとに教えてやるから、がんばれ」
「うえええええ、お願いしますうううう」

泣きそうになりながらお願いすると、朝比奈は珍しく笑って軽い口調で了解してくれた。
ノリも悪いわけじゃないんだよ。




「で、ここのmany's the time の訳し方としては」
「あ、そっか、過去形かー」
「そうそう」
「うお〜マジで終わったー!朝比奈サンキュー!」
「どういたしまして。昼飯はパンでいいよ」
「あう・・・了解っす」

あれから、面倒見のいい朝比奈は、きちんと休み時間ごとにつきあってくれて、オレの宿題を無事完了に導いてくれた。
ちゃっかり報酬を要求されたけど、これなら安いもんだよ!

「朝比奈はいい先生になりそうだなあ」
「えー大勢に教えるのと一人に教えるのって、違うんじゃないのか?」
「んーじゃあ、家庭教師とか」
「そうだな、金に困ったらそっちのバイト探してみるよ」


次の授業の準備をしながら、こっそり朝比奈を盗み見る。

パッと見、失礼だけどダサイ男子高校生。
背は割りとあるんだけど、ひょろっとしてるから、不良にカツアゲされるタイプに見える。
だけど、こうやって話して朝比奈の人となりを知っていくと、ギャップがたくさんあって面白い。




そして、これはオレの完全なる妄想ですが!!
朝比奈って平凡受けのカテゴリーに堂々と入ると思うんだ!
何せ、朝比奈は生徒会の副会長!
周りにはタイプの違うイケメンが多いから!
どのカップリングでもハスハスしちゃうんだよ!!!

オレは【会長×副会長】派だけどね!!!



でもって、オレの趣味をわかってくれて、なおかつ似たようなタイプを持つのが海江田君!

「大野、また妄想?」
「わあ、その海江田君だ!」
「・・・・一回妄想からきちんと戻ってきて。それから話そう」

オレの状態も理解しつつ、友人をやってくれる貴重な腐男子同盟の一人。
ちなみに、海江田の好みは総受け。

オレが何気に朝比奈のことを話すと、予想以上に食いついてくれた。

「やっぱり大野もそう思う??やっぱり生徒会の3人に溺愛される副会長っていいよな!」
「え?オレは固定カプが・・・」
「誰と固定になってもいいようにルート作りは必要じゃね?」
「それはもちろん!あ、固定といっても、他の人が副会長を片思いってのはアリだよ!」

なんてことを話せるのは、海江田くらいだよ。

「副会長がメガネ外すとかどうだろう?」
「ダメだよ、それは大事なイベントまで取っておかないと」
「あ、そういえばさ、なんか風紀委員もちょっと気にならねえ?」
「ええええ?まさか、風紀委員も??」


そうそう、ここまで朝比奈が食いついちゃう原因のひとつにもなっているのが、生徒会の美形の皆様の他に、風紀委員のイケメン様達とも役職柄絡むことが多いという、何コレ、おいしすぎる!な、人員が原因だ。


風紀委員は委員長の六条千晶様を筆頭に、頭と腕に優れ、六条様の冷徹な統率の下、この学校は平穏に送れているというのが専らの噂。
これで顔もいいんだから、ハスハスしないわけがないよね!


風紀委員と生徒会は関わりが多いからか、校舎内で朝比奈が風紀委員の誰かと話している姿をよく見かける。
お互いの様子から仕事の要件を話しているようにしか見えないため、各親衛隊達はその現場を見ても邪魔をしないようにしている。


こいつは人畜無害だ。
そう思わせている朝比奈は、ホントに不思議な人。
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