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「で、普段行かないようなところってここかよ!!」
叫んだ瞬間、ガクンと急速に落下して唇を噛んだ。
「えー?楽しくない!?」
「楽しいけど!!」
ガクガクと体を揺さぶられて、腹の中がひっくり返るような回転を味わいながら祠堂と怒鳴り合う。
後ろも前もキャアキャア悲鳴が上がっていて、おまけに風もすごいから叫ばないととても聞こえない。
「いやあ、やっぱり久しぶりに乗ると楽しいねー」
「楽しいけど・・・うわ、ちょ、前が・・・う、うわああああああ!!」
突然目の前のレールが消えて、ゴッと風を切って直角以上の角度で落下した。
さすがに悲鳴を抑えられなくて叫ぶオレと、そんなオレを見て爆笑する祠堂。
くそ、終わったら覚えてろよ。
祠堂の家に寄って着替えた後、オレ達が向かったのは絶叫マシン豊富な遊園地。
平日だし人は少ないかと思いきや、人気のアトラクションには行列ができるくらい人がいた。
年の近い感じの人もいて、これなら補導員がいてもどうとでも誤魔化せそうだなあと思った。
祠堂の服装はシンプルで大人っぽくカッコよくまとまっていて、髪型も綺麗にセットされていたけど、絶叫マシンに乗ったらあっさり崩れた。
マシンから降りてヨロついたオレと、せっかく整えた髪型が崩れた祠堂を見て、オレ達は互いに笑いあった。
「あ、次はあれ乗ろうよ。それともあれかな?んー行列はどっちも同じくらいか。朝比奈はどっちがいい?」
「・・・どっちもすげえな」
「話題のやつだからねえ」
絶叫マシンに一つ乗っただけでヒイヒイ言ってるオレと違って、祠堂は次にさらに絶叫度の高そうなマシンを指さした。
何だか自分が年寄りになった気分で面白くない。
こうなったら片っ端から乗ってやろうじゃねえか。
そして、オレの無謀な挑戦が始まった。