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「ん・・・?」

妙に寝苦しくなって目を開けた。
自分で予想した通り祠堂を抱き枕にしていたから、そこはいいんだけど・・・
祠堂がオレを覆い隠す勢いで抱きしめていて、抜け出す隙がないくらいギッチリと半ば伸し掛かられていた。

「・・・重い・・・」

祠堂のデカイ体で伸し掛かられたら潰れるだろうが。
朝から心臓にも体にも悪くて、こっそり抜け出そうと体を引く。


--グイッ


「うわっ」

隙間ができたかと思うと、さらに強い力で引き寄せられた。

「祠堂?起きて・・・ない?」

寝ているくせに強い力で、いや、寝ているからこそ手加減なくギュウギュウ抱きしめられた。
痛くてもがくと、その分力が籠るので仕方なく力を抜く。
モゾモゾと祠堂の体がオレを抱き込んで、恐らくベストポジションになると少しだけ力を抜かれた。

・・・・・祠堂って、一緒に寝る相手を抱き締めるのが癖なのかな。

ズキンと胸が痛くなるのを感じる。
こんな、執着を示されるような抱き方をされて一緒に眠った相手は、今までどのくらいいるんだろう。
最近知った醜い感情、嫉妬はズキズキと体中を苛んだ。

抜け出すことを諦めて、祠堂が起きるまでモヤモヤと湧き上がる嫉妬を抑えようと目を閉じた。


--ゴリッ


「・・・・ん?」

足までしっかり絡まっていて、そこの・・・まあ、あれだ、祠堂の朝起ちが当たってる。
・・・いたたまれない。
いや、意識したらオレのも起ってしまいそうだから、必死で違うことを考えよう。


--ゴリゴリ


「ちょ、祠堂やめ・・・」

気持ち腰を引いて当たらないようにすると、それが気に入らなかったのかグイッと腰を抱き寄せられてなおさら密着された。

「おま・・・ガッツリ当たってんだよ。も・・・起きろ祠堂、祠堂っ」

これ以上はオレも平静を保っていられなくて、気持ちよさそうに眠っているところ申し訳ないが、とっとと起きてもらうことにした。

「しーどーう!」
「・・・ん?」

グイグイと揺さぶっていると、ようやく祠堂が目を覚ました。
ボンヤリと目を開けて、寝ぼけた顔をした祠堂がオレの顔を覗き込んできた。
ここまで無防備に見つめられたのは初めてで、思わず見惚れてしまった。

「朝・・・・」

掠れた声が色っぽくて、ゾクリと震える。

「そう朝・・ん・・・祠堂、ちょ」

ゴソゴソと服の裾から手を入れられて、背中を辿られた。
ビクリと震えると顔を寄せられて額に唇をくっつけられた。
そこで呼吸するから、頭の匂いを嗅がれて恥ずかしいやらくすぐったいやらでビクビク震えていると、祠堂の朝起ちがググッと硬度を増した。
熱い掌が背中を這って、ずるっと上から下に滑った。
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