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結局パンツはコンビニにひとっ走りして事なきを得た。


オレ達は変わりばんこに風呂に浸かってその間に体を洗った。
宣言通り祠堂の背中を流してやろうとしたけれど、かなり強固に辞退された。





「祠堂、こっち。髪乾かさないと」

ドライヤーを手に祠堂を手招きすると、サイズの合わないパジャマを着た祠堂が何故か何度も深呼吸をしていた。

「・・・・よし。お願いします」

きりっと顔を引き締めた祠堂がオレの指したソファに座った。
そんなに気合入れるほどのものじゃないと思うけど・・・


ドライヤーの温風を当てながら祠堂の髪を乾かしていく。

「やっぱり柔らかいなー」
「う・・・禿ないからね」
「ふはっ、まだ気にしてたのかよ。そうじゃなくて、触り心地いいなあって思って」
「そ・・・そう?」
「うん、ずっと触ってたい」
「・・・触られたい・・・」
「ん?何?」
「いや、別に。気持ちいいよ」

ふわふわになっていく髪の手触りが気持ちいい。
指の間をするりとすり抜ける髪を追いかけて、指で絡めるのが楽しい。
・・・両手でわっしゃわしゃしたら怒るかな・・・
ついイタズラ心が浮かんだけど、何とか抑えてドライヤーを止めた。

「はい、終わりー」
「ありがとー、気持ちよかった。じゃあ、次は朝比奈ね」
「え?」
「ああ、ちゃんとタオルで拭かないとダメじゃないか」
「うわわ!?」

頭にかけっぱなしのタオルで髪の毛の雫を拭いてくれる。
今度はオレが犬のような扱いだ。

丁寧に髪を乾かされ、頭を撫でられるような感覚に笑いが零れる。

「熱くない?」
「ふふ、くすぐったい」
「頭まで敏感だなんて・・・困った体だなあ」
「・・・何の話?」
「なーんにも」
「うわ、あっ・・・」

つー、と撫でられる指にぞくりと震えて、思わず祠堂を睨み付けた。

「ごめんごめん」

素直に謝ったけど、楽しそうに笑われて何だか腑に落ちない。

「終わったよー」
「・・・サンキュ」
「んー・・・」
「わっ、何だよ?」

ドライヤーを止めた祠堂がオレの頭に顔を寄せた。
匂いを嗅がれて思わず体を引いたけど、祠堂の体はそのままついてくる。

「一緒な匂いだね」
「な・・・お、同じシャンプー使ってんだから当たり前だろ」
「頭も体も一緒。ふふ・・・」

そのまま体を引きよせられて首筋や体の匂いまで嗅がれる。
単純に恥ずかしい。
風呂に入ったばかりだけど、そんな堂々と嗅がれるのはどうだろう。不安になるって。

「ちょ・・・祠堂、マジでやめろ変態」

ぐいっと顔に手を置いて乱暴に遠ざけたけど、腰を抱いた腕は離れずお風呂上がりの暖かい体温を感じてドキリと心臓が高鳴った。
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