ツキウタ。(女子力総受け)
□I★恋★
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ずっと共有ルームに入っていない
みんなと顔を合わせにくくて
あれから食事もみんなと同じものは食べてない
誰かの手作りは怖くて、自分で作るか市販のもの
でも、食欲がないから作ることはせずにお昼に出してくれるお弁当や差し入れを食べてる
月城さんや黒月さんに心配させてしまっている
その事に罪悪感を抱くけど、話せない
俺ですら現実味がない話
信じてもらえないし、信じたくない
部屋に誰かが訪れた音
春さんと新だったらどうしよう
駆だったらどうしよう
いつも通り笑っていられるだろうか
春さんを相手にそんな事をしたらまた先日の繰り返しになってしまう
ドアを開けたら無理矢理にでも入ろうとするだろう
ドアを開けなければ安全だと俺は居留守をしようとする
スマホから音が出る
光る画面に短いメッセージ
“葵さーん、お出かけですか(・゚д゚`≡・゚д゚`)”
それを見て少し笑ってしまう
いつも通りの恋
当たり前だけど、メンバーは全員男でこんなふうに顔文字を使う恋は文字ですら華があって好きだ
安心した俺はドアを開ける
「葵さん、やっぱりいたんですね」
嬉しそうに笑う恋
一つ下で前までは俺の方が高かった身長は今や並んでいる
同じ目線で話すようになったのを感じる
「葵さん」
笑顔を浮かべる恋は顔の高さまで手を上げる
その手には光る刃物
包丁、認識する前に首にひんやりした感覚
「葵さん、今は時間ありますよね」
有無を言わせない口調に俺は一言で答えるしかなかった