AAS
□第一話 いつか見た夢
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「こ、ここがAAS 、なの?」
真っ白な洋館。どこかの国の大統領のような家。規模はバチカン市国より大きいのではないか?東京ドームが8つも入るのだと言う。
こんなのが学校なのか、と私は驚愕した。
AAS ...art ability school 。
アート アビリティ スクールと読むそれは、通称アースと言う名で親しまれている。日本語に訳すと、術と能力。誰もが一流名門校だと思っているだろうが、その正体はいわゆる超能力者の集まり。
私は昨日覚醒してオッドアイになった。片目が黄色、変わった方の色が青になった。よく考えてみれば、AAS に通っていた父も私と同じ目の色だ。
母は普通の人だが、私の超能力の血は濃いのだとか。
「こちらが校門になります。」
私を案内してくれている人は生徒会長の 河野 響さん。女の子だ。
蜂蜜を溶かしたような煌めく唇に、抜群のプロポーション。
モテモテなんだろうな、と考えていると、すでに校内に入っていた。
「貴女はAクラスに入って頂くようですわね」
「あ、はい。学年はないんですか?」
「ええ、学年制度を導入しますと、一つのクラスに3人いるかいないかなんですの」
そんなに少ないのか、と少し不安になった。仲間が少ないのが、怖くなった。
「大丈夫ですわ、恐がらないで下さいまし。不安になっていては、命を落としかねないですわ」
生徒会長は穏やかに笑うと、私をAクラスまで見送った。
「失礼します。鈴桐結菜と言います」
「あれが編入生?」
教室がざわめく。何か、こういう空気、苦手だな…
「今日は寮の案内もございます。また、校舎も案内させていただきます。明日からカリキュラムを開始しますので、そのつもりで。同室の方がお待ちしているようですから、結菜さんはこちらへ。皆さんに一言お願いします」
「不安なことも御座いますが、どうかよろしくお願い致します」
素っ気ない挨拶を終え、私は先生に付いていった。
何か、空気がおかしい。
不安を隠しきれなかった。