ディバゲ

□G
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忙しなく物事が進む常界や魔界などとは反面、穏やかな神界でのどかな空気を割く断末魔。
「なんだ」
外でヘルヴォルとキャッチボールをしていたスルトがグローブを付けたまま声の元へと駆けつける。そこでは腰を抜かしたであろうシグルズが床に座り込みながらもわなわなと震えていたのである。
「す、スルトちゃん……!いいい、今黒い物体がここに……」
必死の形相でスルトの脚にしがみつく。スルトは辺りを一目するが、それと思わしきものは無かった。
「どれだ?いないぞ」
「嘘よ!さっきここに……!」
指す場所には何も無く、ただ投げ捨てられたであろうフライパンが無様な姿になっていただけであった。
「見間違えじゃないのか?」
「違うわよ〜!絶対にあれは……」
シグルズは必死にスルトを説得させようとするが、スルトは不思議な様子で曖昧に頷いていた。


「騒がしいわね……」
「さっきの悲鳴何ー?」
「スルト遅ーい」
「……何やってるの?」
そうこうしている内に次々と集まってくる北欧神達。シグルズからキッチンで黒い物体がものすごい速さで歩っていたと聞くと皆呆れ気味であった。
「それってゴキブ……」
「やめなさいよ!アタシはあんなの見たくも聞きたくもないわ!」
スルトを盾にするかのようにしがみつき喚く様にヘグニは最早溜息を吐かざるを得ない。ヘルヴォルはその光景にそこはかとなく楽しそうだった。
一方、オーディンは手にあったグングニルとキッチンを交互に見つめていた。
「いざとなったらこれで……」
「キッチン壊れそう……」
だよねと頷くと大人しくグングニルを仕舞うと、何か武器になるものは無いかと探し始めた。


「きゃあぁぁぁぁぁ!!あ、あそこ!!あそこに!!今っ……!」
ふと姿を見せた黒い物体。物体は触覚を揺らしながらも素早く移動する。
「本当だー」
物体に近寄るヘルヴォルにヘグニは察したのか、抱えて止める。
「別に素手でもいけるのに」
「あんたねぇ……そんなことしたら直ぐに纏めて捨てるわ」
「わぁ、ひどーい」
そうしている間にも物体は止まる事を知らない。かさかさとスルトの足元にまで迫る。
「きゃあぁぁぁぁぁ!!来ないでぇぇぇ!!!」
パァンッと悲鳴にも負けないくらいの床に叩きつける音が響く。いつの間にかスリッパを手にしていたスルトが仕留めたのであった。
「……無残」
「原型とどめてなさそうだね……」
スリッパを取ることに躊躇う一同に、またしても気にせずスルトはスリッパを上げる。そこには名状しがたいものがあった。余りにもグロテスクな姿に皆黙り込んでしまった。

その後、スルトがスリッパごと処理したことによって騒動は収まったようであった。



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鉄板ネタな気がしますが、Gネタです……!
オーディンちゃんがグングニルで退治しようとしたら面白なと思ってこんな感じになりました←
神界にGが果たして本当にいるのかに関してはノータッチでお願いします(汗)

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