その他
□飛沫に映る君みたい。
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水族館を堪能し、
しっかりと土産も買って、二人は帰路についた。
名前はご機嫌で、「イルカがかわいかった」だの「サメは迫力があった」だの、感想を述べている。
しかし、凛が相槌をうつだけなのに気付くと足を止めた。
「ごめん…私ばっかり…。
凛は、ちゃんと楽しかった?」
「おー、当たり前だろ」
「…それなら、いいんだけど」
「俺は、名前と出かけられただけで十分楽しかった」
凛が気障なことを言うと、名前は納得したように笑った。
「今日見た子たち、みんな泳ぐの上手だったね」
「まぁ…魚だからな」
「凛みたいだった」
「は?」
「凛も泳ぐの上手だもんね。泳いでいるとき、かっこいいし」
凛は、柄にもなく顔を赤くした。
そんなにはっきりと言われるとは。
しかも、水泳ばかりな自分を、
名前は嫌がっていると思っていた。
そんな凛には構わず、名前は言葉を紡ぐ。
それは、さらに凛を赤くさせたし、勇気づけたのだった。
――「水泳してる凛、私は大好き」