その他

□the morning after the night before
1ページ/2ページ


「起きるウサ」

「うーん、もうちょっと…」

「もう朝ウサ!」

「昨日ちょっと飲みすぎたんだ。もうちょっと寝かせてくれ…」

「ダメウサ、起きるウサ」

「うーん…」

廊下まで聞こえてくる朔と兎の押し問答に、名前は苦笑した。

同期で上司で恋人な壱號艇長が昨日遅くまで酒を飲んでいたのは知っている。
酒にだらしがないのは部下に示しがつかないから止めてほしいが、
今日は主立った仕事もないはずなので、ゆっくり寝かせてやりたい気持ちもある。

名前はそっとドアを開け、

「兎。朔は私が起こすから、ここは私に任せて、お水を一杯くんできてくれる?」

と声をかけた。

「…了解ウサ」

と、兎が退室する。
ドアが閉まる音に反応して、ベットの中の朔がゴソゴソと動いた。

「二日酔いなんて、だらしない。
平門がこんな醜態さらしているの、見たことないよ?」

「…たまには羽目はずしてもいいだろ」

「たまにはならいいけどさ…」

名前はからかうように、朔に声をかける。

「お前、寝かせてくれるために兎に上手いこと言ってくれたんじゃないのかよ」

チラリ、顔を出しながらの文句が飛んでくる。

「そりゃ、そうなんだけど。
よく考えたら私、放っとかれるのも面白くないなーって」

名前は半分冗談、半分本気の調子で笑う。
朔は少し考えたあと、ぐいっと彼女の手を引いた。

「きゃっ」

バランスを崩した名前は、ベットにダイブする。
一緒に二度寝をしたら問題ない、とかそんな感じのことを言うんだろうなと思って

「髪、せっかく整えたのに」

と文句を言うと、

「いいじゃねーか。一緒にゆっくりしたら」

と、想像通りの返事。


水の入ったグラスを持ってきた兎には怒られるだろうけど、酒の匂いに抱きしめられるのは嫌いじゃない。

だからもう少しこのままでいいか、と
名前は笑った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ