その他
□ティータイム・ラビリンス
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「あれっ、燭先生もいらしてたんですね」
「なんだ、名前か」
「なんだって酷いなぁ。
研案塔へ届けるサンプルを平門に預けるために来たんですよ?
つまり、燭先生のためと言っても過言では…」
「過言だ」
相変わらずの仏教面な燭に、名前は苦笑いを浮かべる。
貮號挺所属とはいえ、時辰の専属闘員(秘書兼護衛)である彼女はめったに船には来ない。
今日だって、燭から求められて時辰が用意したというサンプルがなければ、
平門の部屋をノックすることもなかったのだ。
「まぁまぁ、名前。
そんなに燭さんを困らせるな。怒ると怖いぞ」
「よく言うぜ。お前が一番、厄介者認定されてるくせに」
続いて飛んでくる、同期の声。
朔も報告か何かのために貮號挺に来ているらしい。
スクール時代から困り者の曲者だったが、今の役職に就いてからさらに拍車がかかった気がする。
「ほんと、変わってないね」
と名前が笑うと、平門は目を丸くした。
「お前だって、学生時代は色々やらかしていただろう?」
「えっ、二人ほどじゃない!」
「まーまー、そういう昔話は酒の肴にした方が良いって。
俺が持ってきたワイン、あれを開けよう。
な?燭ちゃんも飲むだろ?ほら、名前も」
「あー、ちゃん付けしたらダメなんだよ」
「貴様ら…黙って聞いていれば…」
「おーこわ。ほら、乾杯、乾杯!」
朔がワインボトルを開ける。
こうして、ティータイムという名の飲み会が始まった。