ハイキュー!!

□きみの声を脳内リピート
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苗字名前は、男子バレー部の主将・澤村大地の幼馴染みである。

そんな彼女は、たまにバレー部と帰りが一緒になる。
遅くなるときは澤村が家まで送るらしい。
だから今日も、名前と一緒に帰っている。


――事の発端は、名前の一言だった。

「えっ?今日、西谷クンの誕生日なの?」

「あ、はいっス!!」

やたらと元気に返事しながら、西谷は胸がドキリとするのを自覚した。
名前に対する気持ちは、
“女神”と崇める清水へのそれとは違う。
明らかに“憧れ”の気持ちがピンク色なのだ。

「名前、西谷が調子のるから、ほどほどになー」

と、軽く言う澤村に淡い嫉妬心を抱くほどには。

しかし、澤村をあしらって、名前は西谷に近寄ってくる。
いつもよりグイっと近い距離に、ドギマギした。

「大地はね、いつも“西谷がいると安心感が違う”とか“烏野の守護神”とか言って誉めてるよ。
優秀なリベロなんだってね」

「えっ!?いや、そんな…」

「かっこいいって、東峰クンも言ってた」

名前はふふ、と笑いながら誕生日の主役を誉めちぎる。

が、西谷は少し口を尖らせた。

さっきから“大地が”“東峰クンが”と名前本人の言葉が聞けていない。
かっこいいと言われるのは、やはり女子からがいい。
名前だったら、それはなおさら。

「………苗字さんは、どう思いますか」

ムッとしたまま、訊いてしまった。

西谷の様子に、名前は戸惑ったようだった。
しかしそれも一瞬で、
次の瞬間には西谷は顔を真っ赤にしていた。

名前は顔をぐいっと西谷の耳に寄せると、

「私は、西谷クンのそーゆーとこ、けっこう好きだよ」

と言ったのである。

じゃあね、と手を振って、彼女は澤村のところに行ってしまう。

それを追いかけることもできないまま、
西谷は人生で最高の誕生日プレゼントを反芻した。
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