ハイキュー!!

□熱の交錯と照れの応酬。
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※『一粒ちょうだい。』の夢主。


「リエーフ!トス見てから跳べっ!」

「赤葦ィ!もう一本トスあげろ!」

人数の割に熱気に溢れる第三体育館を覗きながら、名前は口角を上げた。
自主練とはいえ、このクオリティのミニゲームを見るのは楽しいに違いない。
チームの分け方が身長的に偏っているのも面白い。

そっと、中に入った。
そのとき――

「あっ、ヤバい!!!」

日向が声を上げた。

日向がレシーブしそこねたボールが名前の方に飛んできている。

黒尾以外の皆が動揺した。

しかし――

「……よっ」

名前は手慣れた動作で、
そのボールをきれいにレシーブした。

勢いも回転も殺してゆったりと上がったボールは、
コートの中に返り、ストンと落ちた。

「すご……」

「マジか……」

月島とリエーフから、声が洩れる。
続いて、木兎がうるさく騒ぎだして、赤葦が止めに入った。
黒尾はいつものペテン師じみた笑みを浮かべ、

「音駒はマネちゃんもレシーブ上手〜」

と木兎を煽る。

名前は彼らに構わず、ニコニコと笑っていた。

「日向くん、レシーブはあんまり上手じゃないんだねー。
リエーフよりはマシだけど、
それでよく天才セッターくんに怒られないね」

「あ、いえ…影山にもよく怒られます」

「だよね」

名前は笑みを浮かべつつ、
止まってしまったミニゲームを気にしたのか、黒尾をチラリと見る。

だが、名前のレシーブを見せられて“興が削がれた”らしい。
結局、今日は解散になってしまった。

名前も混じって、
軽く後片付けをする。
あらかた片付いたとき、日向は彼女に近付いて、声をかけた。

「あ、あの!先輩は、元はバレーやってたんですか!?」

「うん。中学まで」

気になっていた疑問に望み通りの返事がもらえたらしい。
日向は質問を重ねる。

「ポジションはリベロですかっ!?」

「そうだけど…なんで?小さいから?」

「いえ!レシーブが上手いからです!」

名前は、思わず頬に手を当てた。
“チビちゃんは天然おだて”と黒尾が前に話してくれたが、
こういうことか、と納得せざるをえない。

「またレシーブ教えてください!」

「えっ、あっ、うん…」

名前が困惑しつつも頷くのを見て、
日向は「じゃあ、失礼します!!」と体育館を出ていった。
それに続いて、リエーフと木兎が飛び出していく。
ため息をつきながら、月島と赤葦も。

黒尾はさっきとはうって変わって、不機嫌そうな顔で名前の横に並んだ。

「名前、お前もう人前でバレーすんな。
どーしてもやりたかったら俺が相手するから」

「えっ、何でですか?」

「何か、日向とか…あと木兎とかが、お前とはしゃいでるの見るのヤダ」

黒尾が、少し口を尖らせる。

とんだ横暴だ。
そして、単純なヤキモチでしかない。

名前は苦笑して、
隣に立つ黒尾をじっと見上げた。

「それは無理です」

「はあっ!?そこは言うこと聞けよ!!」

「えー、だって…」

眉をひそめる黒尾は、次の言葉を聞いて赤面した。
らしくもなく動揺する彼を笑いながら、名前は一歩先を進んだ。


――「私はバレーが好きだし、それに、黒尾先輩の前が一番笑顔だって自信があるので」
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