ハイキュー!!

□麦茶とノートと二つの林檎。
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腹が減っては戦ができないように、
赤点があっては遠征にいけない。

西谷はつい先日突きつけられた事実に絶望しつつも、何とか机に向かっていた。

そしてその正面には、幼なじみの苗字名前が座っている。

名前はそれなりの進学校に通っており、
西谷のピンチを救うべく、こうして休日に勉強をみてくれているのだった。

「あ、また間違えてる」

「うげっ」

「ほら、こういう問題はこっちの公式だってさっきも言ったよ」

「べ、別に、とりあえずダイニューしたらいいんだろ!」

「だから、この値がわからないと、この公式は使えないの」

「うげー」

はい、やり直し、と、名前は西谷のノートをパシパシと叩く。
そして、西谷がおとなしくペンを執ったのを見て満足そうに笑った。
流し込まれる麦茶に、喉が鳴る。

西谷は名前の笑顔が、というよりも名前が、好きだった。

「あっ、夕、また余所見して!」

目があった名前に指摘され、西谷は視線をノートに戻した。

「……なんかやる気でねぇ」

「またそんなこと言って。
一個も赤点無かったらごほうびあげるから、頑張りなって」

ごほうび?と、西谷は首をかしげる。

何がもらえるのだろうか…
もしリクエストが可能なら名前に…

と、そこまで考えたとき、すっと名前が身を乗り出した。

そして――

「…これ、前払いね」

といたずらっぽく笑いながら、西谷の頬にキスをした。

「ほんとに赤点無かったら、次は頬っぺたじゃ済まないから」

という補足にドギマギしつつ、西谷は赤い顔を隠すためにノートに向かった。
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