東京レイヴンズ

□囃子の音。
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「近くで夏祭りやってるらしいから、行かないか?
室長の許可はとってある」

突然の木暮の申し出に、名前は目を丸くした。

木暮がそういう場所に誘い出してくれることも驚きだし、
また、霊災が発生しやすい夜中に詰所を離れる許可が下りたのも驚きだった。

しかも今夜は、陰陽庁全体がなんとなくざわついている。

神童・大連寺鈴鹿が謀反。
呪捜官たちを振り払って逃亡し、土御門の祭壇へ向かったというのだ。

そういう事件は呪捜部の管轄だが、
何せ、十二神将による事件である。
祓魔官だからと無視できる事柄でもなかった。

だが、木暮は気にせず、いつもの調子で

「とはいっても、万が一の緊急事態(スクランブル)には戻ってこないといけないからな。
行くなら、早い方がいい」

などと言う。

「いや、そういう気分じゃ…」

「だから行くんだよ。
お前、夏祭りとか行ったことないだろ」

「ちょ、ちょっと、禅次郎…」

結局、名前の言葉に聞く耳持たず。
木暮は入り口に乗り付けていた自分の愛車に跨がり、
名前にもヘルメットを渡して発進させた。
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