東京レイヴンズ

□飲み屋の席にて。
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夜勤明けの木暮は、詰所ではゆっくりできないからと名前の部屋を訪ねた。

ノックをしてしばらく待つと、
部屋に張られた結界が解除される気配。
続いて、中側から名前がドアを開けた。

まずそこで木暮は、軽くドキリとした。

理由は、名前の格好だ。

タオル地のショートパンツからスラリと伸びた素足。

肌に直接着た、黒いキャミソール。
ショートパンツとお揃いのパーカーを羽織っているものの、なかなか危うい。

極めつけに、彼女の髪はしっとりと濡れていた。

同じく夜勤明けなら、シャワーくらい浴びるだろうが、
少しタイミングが悪かったか…。

木暮が「すまん」と言うより前に、名前が口を開いた。

「禅次郎、あのさ…キスって、どんな味がするの?」

木暮は、どくり、と心臓が鳴るのを自覚した ――。
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