長編 第一章

□放課後
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「い、いいのか神崎」

放課後、円佳ちゃん達に音楽室の場所を聞いてそこへ向かった。
目当ての人は案の定ピアノを弾いていた。

「はい、私にやらせてください。
男子テニス部のマネージャーを。」

そう伝えると榊先生は鳩が豆鉄砲を食らったのごとく面白い顔をした。
すこし、笑える。

「ただし私はテニスのことは1ミリも知りません。できる限り役に立ちたいと考えてますが、実際使えないと思います。それでもいいのなら。」
「いいやそれは構わない。私もできることから指導していく。徐々に覚えていってもらえたらいい。
それよりも、本当にいいのか?」

榊先生が言いたいことはなんとなく分かった。


「大丈夫ですよ、榊先生。
そこれへんの中坊には負けません。」

なんたって5年くらい長く生きてるからな。

「それに、朝榊先生私に言いましたよね?強そうって。
先生のその直感、信じてみてください。絶対最後まで辞めませんから!」

どこからか湧いてきた自信をありのまま告げた。
自分でもびっくりするほど素直に。
目の前の榊先生は苦笑混じりにファイルから入部届を出してきた。

「これを記入したら、今日は制服で構わない。部活に顔を出してくれ。」
「はいわかりました。…………え?」
「あと少しでミーティングだ。急げ。」

それを早く言えよクソ榊!!!
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