長編 第一章
□合宿2日目
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「今朝」
「え……?」
自分の下にいる神崎は少し不安そうな顔をしている
この状況に諦めがついたのか、抵抗することをやめたらしい
午前中、ずっと今朝のことが頭から離れなかった
あのとき、忍足と何を話していたんだ
あのとき、もうキスはしてしまったのか
ぐるぐると黒い感情が俺を支配する
気がついた時には唇を神崎に合わせていた。
腕の中の神崎が抵抗する
だが所詮女の力、どうにでもなる
長い長いキスで、神崎は息が苦しくなったのか口をあける
その隙に俺は舌を滑りこませる
「はっ………ん」
神崎の口から、甘く小さく声が漏れる
俺はその声をもっと聞きたくなり、
激しく唇を貪る
キスをしている神崎の顔がとろん、としてきた
その顔が愛おしい
手をだんだんと下におろしていく途中で
神崎に殴られた。
「最低…」
殴られた左頬がじんじんと痛む
力が抜けた隙に神崎はするり、とベッドから抜けだした
出て行く背中を見ながら、俺は自嘲気味に笑った。
(嫌われてんじゃねーか)
痛い左頬に手を当て、まだ唇に残っている感触を指でなぞった。