二次創作

□変態に恋されてしまいました5題
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「くっつかないでください移ります変態が」






「うへぇ、ギボジワルー…桃タローくぅん黄連湯作ってぇ〜」

毎度のごとく花街で遊び歩いた僕は翌日、というか今現在二日酔い特有の頭痛と吐き気のダブルパンチで参ってしまい帰宅早々ベッドに直行したがあまりの痛さに眠ることができず仕方ないので僕の弟子の桃タロー君に二日酔いの薬を作ってもらおうと部屋を出る前に時間を確認する。

以前夜中に酔っ払って桃タロー君の部屋に突撃したときは2日間ろくに会話をしてくれなかったという苦い経験があるので気をつけなければと痛む頭を押さえながら時計を見やった。
幸いもう既に日はとっくに昇り、昼時の時間をさしていたので怒られることもないだろうと(仕事サボって二日酔いで苦しんでいる時点で怒髪天つきそうなものだが)部屋の扉を開け台所に向かえばそこには桃タロー君が洗い物をしているらしく水と食器のカチャカチャと重なり合う音が響いている。

水の音で僕の声が聞こえなかったのかと後ろから抱きつけば食器を洗う手を止め鬼の形相という表現がぴったりの顔で僕の方を振り返った。
ただならぬ空気に口を引きつらせれば冒頭のセリフをはかれたのだ。また何かやらかしたのかと思ったが今回は心当たりがなかったので必
死に自分の行動を振り返ってみる。

「え、えーっと…桃タロー君もしかして今ものすごく怒ってたりする?」
「ええ、ええ。全身の毛をむしり取ってやりたいくらいには怒ってますね」
「なんで!?僕君になにかしちゃったけっ」
「しちゃってけ…じゃねえよこの淫獣!変態!去勢しろぉぉっ」
「ぎゃーっお、落ち着いて話し合おう!暴力反対!」

桃タロー君が持っていたお皿が握力のせいで割れてその破片を暴言と一緒に振り回していたのを止めるのに30分、落ち着かせるのに30分かかってとりあえず僕が何をしでかしたのか聞くためお互い椅子に座った。
桃タロー君は俯いてしまいしばらく重い空気が漂っていたが沈黙を破るために僕は口を開いた。

「ごめんね桃タロー君。僕、君に何をしたのか覚えてないんだ、申し訳ないんだけど教えてくれないかな」
「…あんた、花街から帰ってから何故か俺の部屋に来たんスよ。それはいつものことだからいいんですけどねっ寝てる俺の寝間着を脱がせて、俺が目を覚ますまで体をっ全身を舐めてたんですよ!?」

バンッっと机を叩き顔を真っ赤にして涙目で叫ぶ桃タロー君可愛いなぁと考えていたら聞いてますか!と詰め寄られて何度も大きく縦に首を振った。

全く記憶にないのが実に悔やまれてもう一度やりたいと思ったが今それを言えば火に油を注ぐようなものなのでとりあえず謝っておこうと両手をあわせ何度も頭を下げたが機嫌は治らなかったらしく半径30m接近禁止令を出された僕たは桃タロー君欠乏症にしばらく苦しめられるのだった。
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