二次創作

□狂気と純粋は紙一重
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「ぐ、はぁっ…こへ、った止め、ろっ!」
「嫌だよ、だって手を離せば文次郎は逃げてしまうだろう?」

笑は浮かべているのに瞳はギラギラと妖しい光を灯す人物に俺は何か小平太の気に障るようなことをした、若しくは言ってしまったのだろうかと朦朧とする意識の中で今日、一日の出来事を必死に思い出して問題点を探った。

今日は確か実技の授業を受けて放課後は会計委員会の仕事を片付けた。

それから風呂と夕飯を済ませるまでは小平太に一度も会っていないため今し方まで行っていた鍛錬の最中に俺が失態を犯してしまったから怒っているのかと思ったが、いつものように裏裏山の頂上にどちらが先に着けるかを競い合って休憩がてら、留三郎とまた大喧嘩したこと、仙蔵が新しい火薬を作ってその実験台にされそうになったことなんかを話していただけだ。

だから何故小平太がこんなことをしたのか全く理解出来ずひたすら己の首を絞めている腕を離そうともがいてみるがぴくりとも動かず鍛錬不足だと心の中で己を叱咤した。

だんだんと酸素が脳に行き渡らなくなって空気を求めていた口も開けられなくなって全身の力も抜けてしまい気を失う寸前に強い力で締めていた腕が離れて思いっきり咽て咳き込んだ。

「うげぇっ、ごほ…っげほっ」
「ねぇ、どうして私の前で留や仙ちゃんの話をするの。どうして他の奴らの事で笑ったりるの」
「けほっ、うえぇ…っい、いきなり何、」
「…すまん、力を入れすぎた。でも文次郎が悪い!せっかく二人きりで逢引しているのに他の男の話なんかするからっ」
「はぁ?」

バツの悪そうな表情と言葉に毒気を抜かれまじまじと真上にある顔を見つめれば悲しげに特徴のある眉を下げて子供が母親に抱きつくかのように首筋に顔を埋めもう一度すまない
と小さく呟いた。

(今日のこれは鍛錬ではなくあ、逢引だったのか!いや、それよしもこれはもしかして俗に云うやきもちというやつだろうか)

俺が留三郎や仙蔵の話をしたことによって腹を立てたということはつまりそういうことなのだろう。
やきもちを妬かれてむず痒いような照れくさいような嬉しい気持ちについ笑いがこみ上げ、我慢出来ず笑い声をあげてしまった。場にふさわしくない笑に怪訝そうに顔をしかめる 小平太の頭を撫でると気持ちよさそうに目を細めてさらに擦り寄ってくる。

「悪いな小平太。俺が無神経なばっかりにお前を傷つけてしまった…本当にすまない。」
「…ん、分かってくれたならそれでいい」
「あ、あとな!その…お前が嫉妬してくれて嬉しかったぞ!」

照れくさくて早口でまくし立てていえば先程までの落ち込み具合はどこへいったのかいきなり装束を脱ぎ始めた小平太を呆気にとられていたら俺の装束まで全て脱がされてしまい明け方まで開放してもらえなかった。







おわり

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