二次創作

□恋は戦争
1ページ/1ページ






「潮江先輩、私と付き合ってください」
「おぉ、鉢屋か。丁度予算会議のための帳簿付けが終わって暇していたところだ、思う存分竹刀で突き合ってやるぞ!それとも真剣の方がいいか?」
「違いますよ!《突き合う》ではなくて《付き合う》です、漢字が全く違います」


忍術学園一忍者している潮江先輩に恋をしてはや2年の年月が流れた。
本当はフラれた場合の気まずさを考慮して先輩が卒業するときに告白しようと思っていたのだがなんと、先輩に想いを寄せているのは私だけではなかったのだ。


潮江先輩と同室のドS作法委員長の立花先輩をはじめ暴君と名高い七松先輩、先輩と犬猿の仲と言われているはずの食満先輩までもが先輩を自分のものにするべく日々奮闘している。それだけではない、五年生の中にも私の恋敵が存在することが発覚してこれはもう卒業まで待っていてはその間に誰かのものになってしまうと焦りだしたら止まらず、いてもたってもいられなくなり会計委員室に乗り込んで直球に想いを伝えれば斜め上の返答に思わずずっこけてしまった。


いろんな人からアプローチされても気づかないその鈍感さは知っていたがここまでとは…鈍器で頭部を殴られたような衝撃を受けたがここでめげてはだめだと正座をし、背筋を伸ばして真剣な表情で潮江先輩を見つめる。
先輩は私の様子と言葉に一体どうしたのかという顔で眉根を寄せて首を傾げた。
…その表情も大変可愛らしいので私の脳内に焼き付け夜のオカ…いや大切な思い出として刻んでおこう。


「もちろん鍛錬に付き合ってほしいとか買い物に付き合って欲しいとかではありません。…私と恋仲になってほしいという意味です」
「なっ、ななな…恋仲って!バカタレィッ忍者の三禁をしっているだろっ」
「知っています。しかしその禁を破ってでも潮江先輩と一生を共にしたいんです」
「と、共にって…お前正気なのか!?そもそも俺は男だぞっ?」


信じられないという目で訝しげに私を睨んでいるが明らかに動揺しているようで顔から湯気がでそうなほど真っ赤にして口をパクパク開閉させているのでイマイチ迫力がない。
というか可愛すぎる。今すぐ押し倒したい衝動に駆られるがここで事態を急いては嫌われるだけ。全く脈がないというわけではないという事が分かっただけでも良しとしよう、時間はまだあるのだからこれからじっくり落としていくのも一興だろう。


「私は潮江先輩が男だろうと女だろうとどっちでも構わないくらい好いているのです。今すぐに答えを出して欲しいとは言いません。ですがこれからは全力で先輩に惚れてもらうために色々やらせてもらいますんでよろしくお願いしますね」


雷蔵の顔で満面の笑顔を浮かべれば先輩は絶句したらしく何も言わずただ体を震わせ呆然としている。そんな隙だらけの先輩にムクムクと悪戯心が湧いて彼の頬にちゅっとリップ音をたて、口づけて素早く部屋を出る。
数秒後、彼の人の悲鳴が聞こえてきて口元に弧を描きこれからの計画を練ろうと軽い足取りで自室へと足を進めたのだった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ