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□王様ゲーム【カノVer】
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僕が言わなきゃよかったんだ。まさか本当にやるとは思ってなかった。






これは先程の王様ゲームの話。僕は勿論イカサマで王様の座を取った。キドをからかおうと出来心から願ってもないこと、寧ろ叶って欲しくもない命令を下してしまった。

「6番が3番にキス!場所はどこでもいいからさっ♩」

彼女が照れて隠れ逃げ出すことを予想して下した命令だった。そのなかなか見せてくれない照れ顔を見たかっただけなのに。

「…なるほどな。わかった。」

そう言うと立ち上がり、3番を引いていた人のところへ。
3番はコノハくんだった。イカサマして王様にはなったものの番号が誰かなんて把握していなかった。だって逃げ出すと思っていたから相手なんてどうでも良かった…なのに。

「すまんな、これが命令だそうだ。頬貸してくれ。」

コノハは良い顔をしなければ悪い顔することもなく、いつもの表情のまま彼女の指示に従った。


止めたかった。僕ならごまかしが出来るから今からでも止めようと思えば止めれる、けど何でか言葉が出なかった。




「…ん、」

彼女は自分の指を相手の顔に添えると頬に優しく唇を落とす。そんな状況を僕は目の前で見ていた。勿論他の団員も見ていた。

一瞬静まり返る。

「これで良いだろうか、王様とやら?」

彼女がこちらに目を向けると挑戦的な顔で笑った。

「なんか…嬉しい…かも。」

そんな呑気なこと言っているコノハくんのことはさておき、僕は色々な感情を表に出さないようにただ笑った。いつものように笑った。

「いやいや〜まさか本当にするとは。というか出来たんだ、キドにそんなこと。」

いつもの口調でいつもと同じように話す。それが精一杯だった。

少し間が空く。誰もが彼女の行動を意外と思い、なんとも言えない空気に戸惑う。

「え、えぇと、団長さん、とっても大人っぽいですね!!私だったらもう恥ずかしくて!私なんてこの間ドラマの撮影で〜…」

沈黙になりそうな状況をを回避するようにキサラギちゃんが話出した。
そしてそのままキサラギちゃんの失敗談ばかりが続いた。




それのお陰というか、それのせい、というか。とりあえず王様ゲームは終わった。キドの意外な行動のことも話す人は特にいなかった。





そして今の後悔に至る。
勿論彼女が誰かと付き合っているわけでもないし彼女が誰と何しようと彼女の勝手である。

しかし、好きな人のあの様な行動を見てしまうと言うのはこんなに辛いとは思ってなかった。キスをした箇所が頬だろうと胸が治まらない。しかも相手は男…いや女の子でも嫉妬してたかもしれない。なんて考えていたら自分に笑えた。






でもやっぱ本当にこれからも彼女が好きなんだろうな。例え僕が傷つく結果でも。


*君の見えない表情を見るための努力*

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