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□僕と君と
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「「かんぱ〜い」」



チンッと、グラスがぶつかる音が気持ちよく鳴った。


今日は、私と靖友の6年目の記念日。
高3の時、18歳の時に靖友に告白されて、私もずっと好きで……

もう、あの夢のような日から、6年も経ってしまっていたのか。
何度か危機はあったけど、今こうやって彼と過ごせるのは、とても幸せなんだろうなぁ。



「オイ、棗チャン。なーに黙りこくってんだヨ」

「あ、ごめんごめん!幸せを噛み締めてたよー」

「アァ!?バッカ、おま……」



私の言葉に顔を赤らめる靖友。
あぁ、かわいいな。いとおしいな。

これからも彼と、靖友と過ごしていたい。
記念日を迎えるたび、思う。

しかし、だ。
もう6年も付き合って、私達も24歳を迎えた。

そろそろ、考える時期じゃないだろうか。
とある二文字、全カップルが1度は夢見ること。

結婚、だ。


何度もいうが、私たちは付き合って6年。
しかし、靖友から結婚の二文字を聞いたことは一回もない。

社会人になって2年経って、まだ落ち着いてなんていないけど、このままなーなーになってしまったら、一生結婚になんて踏み出せないんじゃないかと焦りも感じる。

それに……彼との子どもだって、ほしいのに。

よし、ちょっと、仕掛けてみよう。
グッと、向かいに座る靖友に詰め寄る。



「ね、ねぇ……靖友」

「アァ?……ンだよ、ちけぇな」

「家族って……良いよね」

「……?オォ」



私のチキン野郎!!!
グラスを持つ手に、力をこめた。

仕掛けてみようと意気込んだ私の口から出た、よく意味のわからない言葉。
ほのめかせようとしたのに、緊張のあまり、ほのめかすどころか掠りもしなかった。

美味しそうに、私が作った料理を、口を大きく開けて食べる靖友。

ねぇ、靖友。
あなたは私とのこれからとか、考えたことない?
私バカだけど、けっこー考えてるんだよ。


それとも、靖友は……



「…………ッヒ」

「?……ってオイ!何泣いてンのォ!?」

「……や、や"す"と"も"ぉ"ぉ"〜…」

「アァ!?おま、ほんと……ったくヨォ!!」

「ぶふっ」



席を立ち上がって、こっちに向かってきた靖友に、私は座ったまま抱き締められる。

あぁ、靖友の匂いだ……。
靖友は泣き止まない私の額にキスを落として、私の目線と同じ高さまで、腰を下ろす。



「棗、どーしたノォ?」

「…ッあのね、靖友」

「ウン」

「私達、もう、付き合って6年じゃない?」

「そうだネ、今日で6年だネ」

「私、靖友のこと、今もすごい好きでね、これからもずっと、好きな自信ある」

「バッ……恥ずかしいこと言ってンじゃネェヨ!」

「靖友は?」



私がそう聞くと、真っ赤な顔をした靖友が、固まる。
質問の意味がわからないのか、それとも答えに困っているのか。



「私、ほんとは不安だった。靖友、これから私とどうなりたいのかなって。
だけど、言い出せなくて、何言われるか怖くて……」

「棗……」

「ごめん、ほんのちょっと、焦っちゃっただけ。
ほら、ご飯食べよう、冷めちゃ……」

「このバァカチャンが」

「あだっ!」


ビシンと、デコピンをかまされる。
急な痛みに?を浮かべる私に、何故か頬を赤らめた靖友。

なんだ??


「ったく、もちっとタイミングっつーもんをヨォ……」

「?」

「〜…ッだからァ!俺が考えねーワケねェし、お前ェはタイミングを分かれっつーんだよ!」

「え?え!?」


靖友は叫んだあと、ポカンとする私をそのままに、奥の部屋に消えてしまった。
しかしすぐに戻ってきて、また私の前にたつ。

そしてあろうことか、座る私の前に、靖友はひざまづいた。


「や、や、靖友!?何してー」

「棗ちゃん、手ェ出して」

「え、あ、はい……」

「ちっげェヨバァカ!左手に決まってンだろ!!そんで目瞑れ!!」

「は、はい!!」



言われた通りにし、左手を差し出して、目を閉じる。
すると、左手の一部分に感じる冷たい何か。開けていいヨォという靖友の声。

私は閉じていた瞳を開き、左手をみる。

そして、叫んだ。


「や、ややや、ややす……!」

「ハッ、動揺しすぎだバァカ」

「だ、だって…!だってだってぇぇぇ……!!」

「バッカまた泣いてンじゃねェヨ。泣き虫チャン」



私の左手の、薬指で光を放っていたのは、

シンプルで、でもしっかりと存在を主張している

指輪だった。



「就職して2年、その前からやってたバイトで、何だかんだ金も貯まったし、俺らも6年経ったし」

「……っ」

「なァ、棗。
俺ァ言葉足らずだし、女心っつーのも良くわかんねェから、お前に悲しい思いさせちまうコト、これからもあると思う。

でも、俺がお前のこと好きなのも、お前から離れねェのも、これからも、何年経っても何十年経っても変わらねェヨ」

「……っやす、とも」




「棗、
俺と、結婚してください。」



靖友の眉間の皺は延びていて、
ふわりとした、綺麗な笑顔で
そう告げられた。


答えなんて、もう、決まっているんだ。




「……はい!もちろん!!!」



私は靖友の胸に飛び込んだ。













僕と君と
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もっと輝く












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