one more time

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「まったく、寝坊で全部サボるなんてどーゆーことよ」

「本当だよ。ノート貸してあげるけど、これは奢ってもらうしかないね、棗ちゃん」

「すみません頭も上がりません…」




翌日
学校に来た瞬間、すでに教室にいた友人達に説教をくらった。


彼女達はなかなか真面目なので、私がサボるとこうやって叱ってくるのだ。ちゃんとノートは貸してくれるが。




「昨日、何やった?」

「あんたの苦手なとこ。けっこー進んだよ」

「うげーまじか…」

「ばっかねー休むからよ」

「返す言葉もありませぬ…」




数Vの教科書をパラパラとめくる。
うわぁ、訳の分からない数列ばかり。私の頭はショート寸前だった。



「まぁわかんなかったら聞きなさいな。
ノートは次の授業まで持ってていいから」

「ありがとう2人とも、大好き」

「現金だなぁ、じゃあまた休み時間ね」




もうすぐ1時間目が始まる。
鐘が鳴る前に友人達は各々席へと戻っていった。

私はノートを取り出し、友人のノートを一字一句写していく。
理解しつつ書いていかないと、これは期末死んでしまうなぁ、辛い。




ガタンと横から物音が聞こえそちらを向くと、自席に戻った東堂くんだった。
あ、目ぇあった。




「徒野さん、体調のほうは大丈夫かね?」

「あぁ東堂くん、おはよう。
別に風邪じゃないよ、ただのサボり」

「む、徒野さんサボりとは頂けないな。
というか、徒野さんでもサボるのだな。真面目だと思った。」

「あぁ、まぁよく勘違いされる」




私はJKの中では珍しく、髪を染めたりもしていないし、ぶっちゃけ化粧もしていない。

だからよく真面目な子と勘違いされやすいが、決してそんなことはないし、サボれるものならいつだってサボろうとしている女だ。大不真面目。




「そういえば昨日は4時間目の授業に課題提出があったのだぞ」

「え、4時間目自習じゃなかったの?」

「自習だが、本当に自習だな。
課題をひたすらやるという」

「えぇぇうそじゃん…死んだわ」

「まぁ徒野さんは欠席だから、今日出しにいっても大丈夫だろう。
ほら、机の中に入っているだろ?用紙」

「あ、本当だ」




東堂くんに言われて机から用紙を引っ張り出すと、課題の用紙だった。
うわ、めんどーくさ。



「東堂くん、答えとか覚えてない?」

「徒野さん、自分だやらなければ身につかんぞ」

「デスヨネーうわぁ私これ苦手なんだよなぁ」

「ちなみに提出期限は放課後までだな。
ゆっくりやれば間に合うさ」

「ん、頑張ってみる」




とりあえず用紙をまた机の中にいれ、ノート写しを再開した。


課題か…なんか前にもこうゆうことなかったっけ。


確か前の席で、私は東堂くんポジションだったなぁ。
私のポジションはたしか、荒北で。


あのときの気持ち、今なら理解できるよ、荒北。



「…そうだ」



あのときのお礼と称して、荒北に教えてもらおう。
お昼休みにでも捕まえてしまえばいいや。



そうと決まればと思い、荒北にメールを送る。
昼休み空けといて、と。




そして数分で、太ももの上にのっけていた携帯が振動する。
携帯を開くと、荒北からだった。

文には、しかたねぇなの短文。
もうちょっと可愛い文字が打てないのか荒北。



とりあえず捕獲はできた、あとは解くだけ。
私は授業に集中しつつも、残りのノートを着々と写していった。






















********








「だァから、ここがこーだっつぅの!バァカか!」

「バカじゃないわ!ちょ、もーちょっと優しく教えてくれたっていいじゃないか」

「アァ?バァカチャンにはこれぐらいで十分だヨ」

「だっからばかじゃないって!!」




お昼休み。
メール通り、私は荒北を昨日の場所へと連れ出し、課題を一緒にやってもらっていた。


隣では、おいしそうに黒猫が缶詰を食べている。



「大体こんなん暗記でいけンだろ」

「無理暗記とかわかんない…言葉わかんない」

「死ねばァ?」

「人を思いやる言葉が現代から消えて、私寂しいよ」




荒北は私を罵倒するのが好きなようだ。
しかしその罵倒北のおかげで、課題が着々と進んでいるのも、また事実。

感謝。



「これがこうで、ここがぁ…」

「やれば出来ンジャン」

「でしょ?天才とお呼びなさいな」

「ココ間違ってンぞ」

「え”!」



私が急いで消すと、荒北は面白そうにケタケタと笑う。
腹パンを決めてやった。


もだえる荒北を無視し、私は問題に取り組む。


あと5問


3問…






「おわったぁぁああ!!」



黒猫が餌を平らげたのとほぼ同じ、私の課題は見事終わった。
ベプシを飲む荒北からは、オメデトォのやる気のない返事。



「荒北、ありがとう終わったよ。」

「オー、ヨカッタネ」

「何かお礼したいんだけど、何がいい?ベプシ?」

「今飲んでるからいいわ」



アーソウダナァと考える荒北。
その間に私は黒猫と遊ぶ。重い。
鮭缶やめるか、もうちょっとダイエットを重視した食材に…





「今週の日曜、部活動禁止でオフなんだけどォ、付き合ってヨ」

「え?」

「いいダロ、暇だろお前」




思わず黒猫を落としそうになってしまった。
お礼=食べ物としか考えていなかった私に、それは予想だにしなかった事態だった。



「え、と…どこに」

「隣街のサイクリングショップ」

「え、なんで私…東堂くんとかと行きなよ」

「あいつらといくとそこで一日終わっちまうんだヨ。それも別にいいけどヨ。

せっかくのお礼なんだろォ?なんでも聞いてくれるンじゃねェの?」

「う…」



ニヤニヤとしてくる荒北。
私はグッと堪える。女に二言はないさ。



「わかったよ、日曜日空ける」

「ちゃァんと起きろヨ、ネボスケ」

「誰が七人の小人の1人じゃ」

「誰も言ってねェヨそこまで」




私のとち狂ったツッコミと共に、予鈴が鳴った。









今週の日曜日、荒北と初2人でお出かけするそうです。















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