WE ARE HAKOGAKU!!

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「「「「よろしくお願いしま〜す」」」」



本当に、入りやがった。




その日の放課後、若干憂鬱な思いで部活に着てみると、女子更衣室と私が入部したことによって出来たその元倉庫の中に、見慣れない靴4つ。脱ぎ捨てられた制服4セット。

まさかと思い皆が集まる場所に恐る恐る行くと、女性の甲高い声。


あの女子生徒たちは、入部していましたとさ。



「嘘でしょ…」

「棗、どうした」

「あ、あ、寿一…!!」



後ろから声を掛けられ振り向くと、金。
そこにいたのは、私の幼馴染の寿一だった。

その後ろには、カチューシャをかけた人と、女子生徒たちが騒いでいた人物の新開くんがいた。



「いや、うん、別に…」

「む、あの女子生徒たちはなんだ?」

「あ、なんか、マネになる?ぽくて…」

「わっはっは、さては俺のファンだな!!」



急に声を上げた、カチューシャの人。
私は名前も知らない彼に不審な目を送る。

だ、誰だこの人。



「む、君には自己紹介がまだだったな。
俺は東堂尽八!クライマーだ!!よろしく!」

「あ、は、はい。よろしくお願いします。
徒野棗です。」

「徒野さん、か!覚えたぞ!!」



そう言ってまた元気よく笑う東堂くん。
第一印象、元気なカチューシャ。


てか、そんなことより、問題は。



「集合ー!!ミーティング始めるぞ!!」



私が考えるよりも前に、主将から集合がかかった。
私含め全員がそれに返事を返し、集合する。

そのとき、ジャージに着替えていた女子生徒4人は、私にくっつくように傍に立ってきた。めんどくせぇ。



そして、ミーティングが終わり、練習開始。
先輩マネの人に仕事を教えてもらうべく、私含めその4人で先輩の後に着いて行った。



「じゃあまずはジャグを作ってもらうぞ。
ここに水をいれて、ボカリの粉を分量ここにいれて混ぜて」

「「「「はーい!」」」」

「…はい」



4人の元気な声と対照的に、私の低い声。
とりあえず3つ用意されているジャグを2人でやることにした。
私は先輩マネの人と、あとの4人は2つにわかれていた。



「よし、そんぐらい入れたら、粉いれて」

「はい、4袋ぐらいですか?」

「そうだな、そのぐらい入れよう」

「はい」



私が粉を入れ始めたのを確認して、先輩は他のジャグも見て周る。
私もかき混ぜるときにその子達をちらりと見たが、何だかんだ真剣にやっていた。


そっか、男目当てって決まったわけじゃないもんな。マネの仕事をやりたかっただけかもしれないし、うん、私の考えすぎだったみたい。


そして全員がジャグを作り終わり、持って、民ががトレーニングしているところまで運ぶ。
なかなか重かったが、うん、1人でも持てそうだ。


ジャグを置いた後は、彼等の練習風景を見ることなく、部室へ移動。
選手の更衣室が主な使い道だろう。


てか、きったな!!



「ごめんな、汚いだろ。
あいつらも着替え急いでやったりするからさ、ここを片付けるのもマネの仕事なんだ」

「なるほど…」



確かに、どぎたない。
着替えとか適当にほっぽってあるし、食べかすとか、てかゴミやばいな。


その疲れ切ったような先輩の声に返事をする。
が、返事をしたのは私だけ。
おや、と思って彼女たちを見ると、ナニコレみたいな顔をしていた。



「なにこれ…きたな…」

「なんでこんなんなってんの…」



彼女たちは、引いていた。
その反応に先輩が慌てて弁解する。



「あーごめんな!じゃあ服とかは俺が拾うから、君達は掃除を…」

「てか、なんで練習見れないんですかぁ?」

「え」



低い声が、私と先輩の鼓膜を揺らす。
先ほどの高い声とは一変、彼女達からは笑顔もなく、心底ダルそうな顔をしていた。



「タイム計ったりとか、応援とか、タオル渡したりとか…ねぇ」

「そうそう。さっきから雑用ばっかだし」

「練習みたいのになー」

「なんか想像してたのと違ったかもぉ」



彼女達は口々に文句を言いながら、そう誰に向かって言っているのか分からない愚痴をこぼす。

ちょ、まて、なんだこれ。
おい先輩涙目じゃねぇか!!



「ちょ、みんな…」

「ご、ごめんな。これがマネの仕事だから!」



早速やろう!と元気に言ったマネの先輩とは対照的に、皆はダルそうな顔をしながら掃除をし始めた。



な、なんなんだコイツら。
本気でやる気あるのか。




私の中からイライラちゃんは消えることなく、
その日の練習は一日彼女達にイライラさせられっぱなしだった。




あぁ、先が思いやられる…。










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