WE ARE HAKOGAKU!!
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次の日。
学校に来るや否や、数人の女子達に囲まれた。事件だ。
「徒野さん?だよね!どうしてあんな自転車に詳しいの!」
「メカニックってなに?!ロボット!?」
「私もマネージャーになりたいんだけど、大丈夫かなぁ!?」
「私も!ねぇどう思う!?」
「「「「徒野さん!!」」」」
「……う、うん。」
とりあえず、落ち着いてほしい。
よく見ると、彼女達4人は、昨日見学に来ていた女子生徒の一部だった。
まさか、クラスが一緒だったとは。
私の机を取り囲むようにして現れた彼女達に、正直リンチされるのかと思った私は、多分今疲れ切った顔をしていると思う。
「え、と…それで、皆はマネージャーになりたい、てこと?」
「そう!なりたいの!!」
1人が声を上げると、皆がうんうんと頷く。
へぇ、こんなにも自転車が好きな人が世の中にいたなんて。嬉しい。
「そっか、嬉しいな、ロード好きなんて。」
「「「「え」」」」
「え」
え。ってなんだ。
何言ってんのコイツみたいな目で見られている気がするよ。私。
「いやだなぁ、徒野さん。別にロード好きなわけじゃないよ?」
「…え?」
「だってぇ、ホラ。あそこにいる新開くんって、わかる?」
「新開くん?」
女子生徒たちが指差す方向にいたのは、新開と呼ばれた男子生徒。
ん、誰だろう。
「彼、イケメンでしょ?」
「…?ま、ぁ?」
「他にも東堂くんって人とか、福富くんってクールな人がいるんだけど、自転車部ってイケメン多いじゃない?」
そこで私は、なんとなく分かってしまった。
ロードが好きではないと言った彼女達、だがマネージャーになりたい彼女達。
そうか。
顔で、ね。
男目的ってわけか。
「だからその人たちと知り合いたくってーねー?」
「そうそう、部内恋愛とかあこがれるし」
「ねー!青春みたい!」
「野球部ないから、自転車部で青春!みたいなー」
殴っていいだろうか、こいつ等。
私は自分の笑顔が段々ひきつっていくのがわかった。
こいつら、ほんと、こいつら。
何が青春だ、何が部内恋愛だ。
ロード、なめんなよ。
「……じゃあ、直接先輩に聞いてみなよ」
言いたいセリフを、全て飲み込み。
私はニッコリと彼女達にそう微笑んで、言った。
「マネージャー5人も入れるかなぁ」
「平気じゃない?わからないけど」
「ホント!?じゃあ今日また行ってみるねー」
ありがとーとそのまま私の席を離れた彼女達。
私はそれを最後まで見届けた後、机に頭をガンッと打ち付けた。
私が言ったって、きっと彼女達からは反感を買うだけだろう。
それに、だ。私も昨日入部したばっかりだし、偉そうなことはいえない。
だから、だからだ。
(入部してから後悔させてやるぁあ!!)
授業開始のチャイムが鳴り響いた。
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