悪霊の夢
□悪霊がいっぱい!?―A―
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調査2日目
朝7時、俺は昨晩用意した弁当(ミニ重箱)を持って、旧校舎に向かった。
ナルに言われた通りバンの所へ行くと、二人は既に起きていて、それぞれ仕事をしている。朝から熱心だなーと思いながら、近づいた。
「おはよーさーん」
「ああ、おはよう」
「おはようございます、小太刀さん」
うん、朝のあいさつは大事だからね。ナルはあいさつ返さないかと思ってたから一安心。
「二人とも朝飯食った?」
「いや、まだだ」
「だと思った。コレ、作ってきたから食っとけ」
「必要ない」
「まあまあ、朝飯抜いたら力入んないぞ?」
「構わない」
「いや構わないじゃなくて、食べなさい」
お互いに引かない。こうしてる間もナルはファイルを手放さない。
この仕事馬鹿!
「ナル、折角ですから、食べましょう」
「リン」
「そーそー、これは俺が昨晩から仕込んだんだぞ?」
「・・・僕は肉類が食べられない」
拒否してた理由それかい。
二人が細いからって理由で野菜ばっかりにしたのは、正解だったみたいだ。
「大丈夫大丈夫、これ野菜しかないから」
そう言いながら、俺は二人にミニ重箱のような弁当箱を渡す。俺はもう食べてきたので、俺の分はない。
弁当箱を遠慮がちに開けて、中身を確認する二人。なんだろう、変に緊張してきた。
「あのさ、何でそこまで注意深く見てんだ?アレルギー?」
「いえ、私は調査中は精進潔斎することにしているものですから、肉類と魚類は食べないんです」
「僕は体質的に食べられない」
「あー、それでね。ど?食べれそ?」
「ああ、問題ない」
「ええ、大丈夫ですよ。それでは、いただきますね」
そう言って弁当を食べ始めたのを見て、心底安心した。拒否された場合、弁当どうしようという状態だったのだ。
持参したポットから、スタックカップに紅茶を注ぎ、二人に手渡す。その時に弁当箱を見て、気づいた。
「一也は、薄味派?」
「ああ、濃いものよりは薄い方がいい」
一也の弁当は、薄味の物が先に減っている。詳しく言えば、『大根の甘酢あえ』。ポリポリ音をたてながら食べている。
対するリンさんは、少し辛めの物、もとい濃い味。『きんぴらごぼう』が一番早く減っている。
「二人の味の好み、見事に正反対だなー。何、お二人は兄弟的なにか?」
「「違う(違います)」」
そんな話をしながら食事を終え、俺は弁当箱を水道で洗い、二人は紅茶を飲んで一息。仕事前はこれくらい休まないとやってられない。現に、俺は本業である教師として授業をする際、1時間目の前にはオロ〇ミンCを飲んでいる(なんか違う)。
後片付けが終わり、俺とリンさんがカメラのテープの回収、ナルがそのデータのチェックという風に役割を分担し、仕事を開始した。
そしてこの日、
俺はまた、新たな出会いをすることになった。