と宝物

□記念リクエスト
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よつば様リクエスト
鮫鼬の甘々
−−−−−



【飴玉or】



干柿鬼鮫は悩んでいた。
うちはイタチも悩んでいた。



寂れた道を歩く二人の人影。暁に所属するS級犯罪者のうちはイタチと干柿鬼鮫だ。
漆黒のコートを身にまとい無言で歩く二人は端から見たから恐ろしく思える。何をされるか分からない恐怖を感じる。
しかし二人が考えている事は通常なら有り得ないことだった。


(手を繋いだり、恋人らしい事がしたい…。)


実は付き合いたてほやほやの恋人同士。二人は殆ど同じ事を考えていた。

イタチは恋人とお付き合いするのが始めて、どうしていいのか分からず、常に受け身になってしまう。
鬼鮫はというと…。霧隠れに居た頃に三人の女性と付き合っていたが、どの女性も鬼鮫の外見に臆せずに告白してきた明るく元気な人達なので、イタチのように大人しい人はどうやって扱えばいいのか分からず戸惑っていた。
しかし二人共、愛しくて何かアクションを起こしたい気持ちはしっかりあるため、どうしたものかと悩んでいる。


「…ん?イタチさん、髪が」

隣を歩くイタチに視線を向けると、後ろで束ねている髪が一房抜け出ていた。先程追い忍と戦った時に乱れてしまったのだろう、鬼鮫は「直しますね」といい手を伸ばす。

「!?、大丈夫だ、自分でやる」

イタチは手をかい潜り、赤い顔を見られないようにそっぽを向き、自分で髪を直してしまった。

(可愛いですねェ…。ではなくて!!)

イタチに見とれてしまった自らにツッコミを入れる。
他に何か話題やきっかけはないかと辺りを見たり、ポケットを探った。
するとポケットに何か入っていた。



「イタチさん」

「なんだ、鬼鮫?」

先を歩いていたイタチは呼ばれて振り返る。
そこには両手を握って前に差し出す鬼鮫が居た。

「どうした?」

「どちらか選んで下さい。当たったら良いものをあげますよ」

イタチはキョトンとした表情をしてから、クスッと笑った。

「じゃあ………右」

鬼鮫が右手を開くと、綺麗な包み紙に包まれた飴玉が現れた。

「残念、ハズレですね」

そう言い、イタチに飴玉を渡した。
イタチは首を傾げながら飴玉を見た。いたって普通の飴玉に見えるそれが何故ハズレなのだろうか?味が特殊なのか確かめるために口に含むと、イタチの好きなみたらし餡の味がした。

「当たりだと、何が貰えたんだ?」

「秘密です。もう一回やりますかァ?」

コクッと頷くと、鬼鮫は両手を背中に隠してから、握った両手を差し出した。

「さあ、どっちでしょう?」

「じゃあ……左だ」

手を開くと、そこには飴玉があった。

「残念でした、またハズレですねェ。もう飴玉がないので、これで終わりです」

「そうか…」

「しょんぼりしないで下さいよ」

「し、してない」

慌てて首を振ると、鬼鮫はクックッと笑った。

「賞品が何だったのか教えてくれないか?」

「んー。どうしましょうかねェ」

またクックッと笑う姿を見て、どうしても知りたくなり、先程貰った飴玉を差し出した。

「もう一回やらせてくれ」

「そんなに当たりが欲しいんですか、仕方ないですねェ」

鬼鮫は返された飴玉を握り、背中に両手を隠してから前に差し出した。

「どっちでしょうか?」

「…写輪眼の使用は」
「駄目です」

「むぅ………なら、左」

左を開くと、そこには何も無かった。

「何もない…ハズレか」

「いえ、大当りですよォ」

どういう事だ、そう聞こうとした口は塞がれた。
「んぅ…!?」

率直に言うと、キスされた。
イタチが驚いて肩をぺちぺち叩くと、鬼鮫は少し離れて楽しそうにクックッと笑った。

「もう一回挑戦までして手に入れた当たりはどうです?」

赤い顔を見られないないように俯いているイタチに問うと「…心臓発作で倒れそうだ」と息苦しそうに言われた。

「私もですよ」

顔を上げると、赤い顔した鬼鮫がそっぽを向いていた。

「恥ずかしいならするな…!」

「いや、なにか恋人同士らしい事をしたいな、と思いまして、ね」

「そ、そうか…。そうだな、なら」

「どうしました?」

何やブツブツ言っているイタチが心配になり覗き込むと、手をがっちり掴まれた。

「さ、さあ行くぞ、鬼鮫」

手を掴んだまま目的地に向けて歩き始めた。

「手を繋いだままですか?」

「………嫌か?」

「いいえ、イタチさんも積極的になってくれて嬉しいです。私も頑張りますね」

「いや、まて。あまり頑張られると心臓が持たない」

「そうですか、では控えますね」

「そう言いながら恋人繋ぎに変更するなっ…!」


顔を赤くしながら歩く二人は怖さなど微塵もなく、誰がどう見てもS級犯罪者ではなくただの初々しいカップルだった。



END



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