と宝物
□記念リクエスト
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キイロ様リクエスト
超ラブラブな角飛+ノンケな暁メンバーの誰か
−−−−−−
【バカップル】
ある日、飛段が子猫を拾ってきた。
余計な出費がかさむペットなど角都が許可するわけがないと重々理解している。だからといって、可愛い子猫をまた捨てるなんて出来ない。
飛段は鬼鮫に相談することにした。
「なぁ鬼鮫、ちょっといいか?」
まるで忍のように中庭の木の影から話しかける飛段を見て、鬼鮫は笑わないように「なんです?」と声をかけた。
「子猫拾ったんだけど、角都はペット超駄目って言うだろ?どうすりゃ飼えっか一緒に考えてくれよ」
そういい、周りを気にしながらコートの中に忍ばせていた子猫を取り出す。
その子猫を見るなり、鬼鮫は苦笑混じりの表情で言った。
「その子猫なら、角都さんは許可すると思いますよ」
「マジか!?じゃあ、角都に見せてくる。ありがとな、鬼鮫!」
飛段はすぐさま走りだし、角都の元へ向かった。
残された鬼鮫はやれやれ、と溜息混じりに「気付いていないのが飛段さんらしいですけどね」と呟いた。
「角都!猫飼いたい!」
鬼鮫のおかげで勢い付いた飛段は角都の部屋に乗り込み、大声で言った。
その勢いと子猫を見せられた角都は帳簿を書く手を止めて、何やら考え込んでいる。
「あ、あれ?駄目なのか、角都ゥ…?」
角都は子猫と飛段を交互に見て、それから怒りを含む声で言った。
「分かってて言っているのか、飛段?」
「う…!餌代がかかるとか部屋が汚くなるってことだろ?ちゃんと分かってるよ!餌なら俺の分やるし、掃除もやるからさぁ、だから」
「そうではない。…どうやら分かっていないようだな。まったくお前らしい」
「ハァ?なんだよ、意味わかんねェーよ!」
角都は溜息一つ零し、子猫を見た。
ピンク色の目に銀髪の毛並み、あどけない表情。どう見ても飛段そっくりの子猫だ。
「オイ、無視すんなよ角都!」
「…飼っていいぞ」
「無視するとかマジありえな…え?」
「今回だけ特別だ。…今後はつれてくるな、いいな?」
飛段は笑顔で「角都、マジありがと!」と言い、嬉しさのあまり子猫にほお擦りをした。
そこは俺にほお擦りをするべきだろう、などと言えない角都はその光景をただ見ている。
「なぁ、角都!こいつに名前付けてやってくれよ!」
「なぜ俺が…」
「名前って父ちゃんがつけるもんだろ?」
なるほど、飛段が母親で俺が父親というわけか恥ずかしい奴め。そこが可愛いが。
「嫌なら、暁の母ちゃん担当の鬼鮫に頼む」
恥ずかしいのは俺だったか…。
角都はうなだれてしまった。
「お、オイ、角都?」
「五月蝿い黙れ、飛段。殺すぞ…」
「そんなに名前付けんの嫌なのかよ!?」
「で、結局名前はつけてもらえたんですか?」
飼う許可をもらえたことを報告しにきた飛段と子猫に飲み物を出し、話を促した。
「"ヒナ"って名前つけてくれたぜ」
「ヒナですか。角都さんにしては可愛い名前ですね」
「だろー?」
飛段さんにできるだけ近い、でもそうだと気付かれにくい名前を付けたんでしょうね。そう思っても口には出さないでおいた
「良かったですねェ」
「角都ってホントは優しいからな、マジ真剣に名前考えてたぜ。それにヒナの頭を撫でてくれた」
「はいはい、まったくラブラブでこっちは疲れちゃいますよ」
「なんだよ、それ。あ、分かったイタチとラブラブ出来ないから俺達が羨ましいんだろ?」
「いえ、厭味です。私はノンケなのでお二人のラブラブ話は疲れるんですよ」
「鬼鮫って最近さ、厭味とか本音言うようになったよな。なんか嬉しいぜ、ホント」
「そ、それはどうも」
数日後。
角都と鬼鮫は買い出しをするために街に来ていた。
買った物は調味料や米などの主食になるものなど、自分達では得るのが難しい物だけで(肉、魚は狩ればいいし、野菜はゼツが作っている)余分な物は買わない。
鬼鮫がそれらをまとめて持ちやすくしていると、角都が待ったをかけた。
「まだ買う物がある。ここで待っていろ」
必要な物は全て買ったから、自分用の古書でも買うのだろうか?人を待たせて買い物なんて珍しい、よっぽど気になる書物があったんだろう。鬼鮫はゆっくり待つことにした。
戻って来た角都の手にはペットショップの袋が提げられていた。
「ヒナの首輪ですかァ?」
鬼鮫がクックッと笑うと、角都はそっぽを向いた。
可愛い首輪にしたのだろうか?気になり、透明な袋ごしに首輪を見ると…。
【飛奈】
銀色のプレートに彫られた名前を見て、鬼鮫は思わず言った。
「この、バカップルは…」
"ひ"がつく鳥の雛から名前を取ったとか、そういう遠回しな名前ではなく、飛段から一文字とって真剣に名前をつけたんですかそうですか。
「待て、鬼鮫。何を考えている…違う、違うぞ。お前の考えは断じて違う」
焦って言い訳をする角都を見て、鬼鮫は深い溜息をついた。
END
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